政府は12日に決めた成長戦略に、保険診療と保険外診療の併用を例外的に認める「混合診療」の対象拡大を盛り込んだ。秋をメドにまず抗がん剤の分野に適用する。ただ、あくまで例外的な適用との立場を変えていない。経済界が求めていた全面的な解禁は見送った。
厚生労働省は先進的な医療技術の一部で、保険診療と保険外診療の併用を認めている。2012年12月までに95の技術が認められた。原則、いずれは保険診療に含めることを前提としている。
成長戦略では審査を迅速にするために、外部機関による専門評価体制の創設も盛り込んだ。1件当たり6〜7カ月かかる審査期間を3カ月程度に短縮する。この仕組みは秋をメドにまず抗がん剤に適用する。新しく登場する抗がん剤の新薬を迅速に認可し、使いやすくする狙いだ。
産業競争力会議の民間議員や経済界は、混合診療の全面的な解禁を要求してきた。混合診療は一部の例外を除いて禁止されており、併用した場合は保険診療部分も含め全額が自己負担になる。全面解禁すれば、患者の選択肢を増やし、医療産業の活性化につながるとの考えがある。
政府は「受けられる医療に格差が生じる」とする日本医師会などに配慮して全面解禁は見送った。今回決めた例外対象の拡大は、こうした慎重論と全面解禁論との折衷案との見方もある。