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量的緩和の出口、市場が過剰反応しないタイミングで FRBの模索

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■「市場に優しい」量的緩和の出口は FRBの模索
ワシントン支局長・藤井彰夫

 米連邦準備理事会(FRB)がいよいよ量的緩和(QE)の出口に向かうのではないか。こんな観測が世界の金融市場を揺さぶっている。地区連銀総裁などを中心に早期出口論も浮上するが、市場との対話に失敗すれば混乱を招く恐れがあり、出口はそう簡単ではない。

 2008年の金融危機以降の3回にわたるQEでFRBの総資産は3兆ドル(約300兆円)を超えた。昨年末に実施したQE3で毎月850億ドルの米国債、住宅ローン担保証券(MBS)を購入しているので、さらに資産は拡大を続ける。

 このまま資産をどんどん拡大させると将来の出口がさらに大変になるので、今のうちに毎月の購入額を縮小し始めたほうがよい。米国経済は最悪期は脱し、雇用も改善傾向にはあるので、購入額縮小は金融引き締めではなく、金融緩和ペース微調整にすぎない。FRBの金融政策決定を担う連邦公開市場委員会(FOMC)でQEの早期縮小を求める人々の考えだ。

 現在FOMCで投票権を持つ早期縮小派筆頭のジョージ・カンザスシティー連銀総裁は「経済のいくつかのセクターが、ゼロ金利と量的緩和政策に大きく依存するようになっている」と警鐘を鳴らす。

 だが、バーナンキ議長を含めFRB主流派は「そう簡単ではない」と考えているようだ。「緩和ペースの縮小」と説明しても、金融市場は米金融政策の大きな転換と受け止める可能性がある。実際にQE縮小観測が浮上して以降、米長期金利が上昇、日欧などの市場にも影響が広がっている。

 さらに最近の経済指標をみると、微調整とはいえQE縮小に動くには都合がよくないものもみられる。例えば5月31日に発表になった4月の個人消費支出(PCE)価格指数。

 PCEはFRBが重視する物価指数で「2%」というインフレ目標もPCE指数を基準にしている。そのPCE指数の前年比上昇率は4月は0.7%、食品やエネルギーを除く指数も同1.1%と2%を下回り、最近は鈍化傾向にある。物価情勢だけをみれば「インフレ率が目標を下回り鈍化傾向にあるなかで、量的緩和の出口を急ぐべきではない」とも主張できる。

 景気の先行きにも不安は残る。3日に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した5月の製造業景況感指数は前月比1.7ポイント低下し、3カ月連続で前月を下回った。連邦政府歳出の強制削減による財政引き締めの影響など不透明要素も多い。

 特に、QE縮小で長期金利がFRBの意図しない形で上昇すれば、せっかく回復基調にある住宅市場にも悪影響を与えかねない。QEを縮小する場合は、市場が過剰反応しないように、しっかりと情報発信をしてから適切なタイミングでのぞむ。「サプライズなき出口」がFRBの理想だろう。



















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