政府は5日、米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの訓練の一部を、大阪府八尾市の八尾空港で行えるか本格検討する方針を固めた。日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長の訓練受け入れ表明を踏まえたもので、他に候補地がない現状を考慮した。ただ、田中誠太八尾市長が反対し、(1)給油(2)格納庫(3)訓練環境−の3点でも難があり、可否を慎重に見極める。
橋下氏は6日、菅義偉官房長官と会談、八尾での訓練受け入れを提案する。
安倍晋三首相は2月の沖縄訪問時、仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事に対し「オスプレイの訓練をなるべく(沖縄)県外ですることに努力したい」と表明。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)に配備されたオスプレイの訓練移転は沖縄の基地負担軽減に不可欠と位置づける。ただ、政府高官は「どの自治体も及び腰の中、今回の提案はありがたいが、沖縄の負担軽減と抑止力の強化の両面で、八尾はメリットが少ないのでは」と指摘する。
防衛省幹部によると、オスプレイの燃料はセスナや陸自ヘリと異なるため新たな給油施設が必要となり、数十億円のコストがかかるという。格納庫の確保も難題で、空港、隣接する駐屯地とも格納庫は満杯の上、新設する土地もない。
訓練環境としても疑問符がつく。八尾空港周辺は普天間飛行場と同じように住宅密集地。民間空港のオスプレイ使用には地元の反発が強い。一方で、沖縄での訓練をある程度代替できなければ、沖縄の負担軽減効果も限定的となる。
米軍は本土全域でオスプレイの飛行訓練を行う計画で、できるだけ多く給油・中継拠点も確保したい考えだが、すでに岩国基地(山口県岩国市)を拠点としており、東日本での拠点確保を優先させたいのが米軍の本音だとの指摘もある。