株式市場や外国為替市場で荒い値動きが続いている。6日の東京株式市場では日経平均株価が続落し、終値は4月5日以来、2カ月ぶりに1万3000円を割り込んだ。外国為替市場では円が対ドルで上昇した。米国の金融政策を巡る不透明感から株、円とも方向感を失う動きになる傾向が強い。市場が落ち着きを取り戻すかどうかは、政府の今後の成長戦略や米国景気の行方がカギになるとの見方が多い。
日経平均の終値は前日比110円85銭(0.85%)安い1万2904円02銭。前日の米国株安で投資家心理が悪化したうえ、短期間の相場下落を見込んだヘッジファンドなどによる株価指数先物への売りが膨らみ、現物株も押し下げた。5月22日の年初来高値から2700円強下げ、日銀の「異次元緩和」決定前日だった4月3日の水準に500円余りに近づいた。
日経平均は1万3000円を挟んで上下を繰り返し、高値と安値の差は400円近くに上った。外為市場では株安になるとリスク回避で円が買われやすくなり、1ドル=98円台後半から99円台半ばまで荒い動きになった。
株式市場では、相場急落で投資家心理が悪化、長期投資家が様子見になり、短期取引のヘッジファンドなどの影響力が高まっている。株安で稼ぐファンドの株価指数先物への売りが膨らみ、値幅が広がる循環を生んでいる。パインブリッジ・インベストメンツの前野達志執行役員は「相場の落ち着き所が読み切れず買いに動けない」と話す。
政府が5日示した成長戦略素案が予想の範囲内だったことで、追加策が打ち出されるか注目する投資家も多い。「法人減税など今回見送られた内容が出てくれば、海外勢から再び評価されやすい」(国内証券)という。
米景気の行方も焦点。雇用統計発表を7日に控え、米連邦準備理事会(FRB)が緩和縮小に動くタイミングを巡る市場の反応が読めず「機関投資家などが取引を手じまう動きがある」(国内銀行)。明治安田アセットマネジメントの小泉治執行役員は「指標が弱めの内容になるなどして早期の緩和縮小観測が後退すれば追い風」とみる。