財務省が3日発表した1〜3月期の法人企業統計によると、金融機関を除く全産業の設備投資は前年同期比3.9%減の11兆3928億円だった。マイナスは2四半期連続。円安効果もあって経常利益は5四半期連続で増えたものの、電気機械や鉄鋼など製造業を中心に設備投資を手控える動きが目立った。
設備投資の産業別の投資動向をみると、製造業は8.3%減と2四半期連続で減少した。新型車対応が押し上げた自動車を含む輸送用機械や、火力発電投資があった石油・石炭などは増えたが、需要の先行き不透明感から電気機械や鉄鋼などでは投資に慎重な姿勢が続いた。非製造業も1.5%減と2四半期連続でマイナスだった。情報通信業で前年のデータセンター建設による反動減があったことや、運輸業で航空機購入を一時停止したことなどが影響した。ソフトウエアを除く設備投資も季節調整済みの前期比で0.9%減と2四半期ぶりに減少した。
全産業の売上高は5.8%減の326兆8637億円と4四半期連続で減った。製造業は6.6%減。中国の景気減速の影響などで自動車など輸送用機械、半導体など情報通信機械で減収となった。非製造は5.4%減。国際的な資源価格下落が影響した商社など卸売業などの売り上げが減った。
一方、足元では改善の兆しもみられる。設備投資は2012年10〜12月期(前年同期比8.7%減)と比べマイナス幅が縮小。売上高も季節調整済みの前期比では5期ぶりに増えた。財務省は「日本経済は足元では景気は緩やかに持ち直している」と指摘。「今後、輸出環境の改善や経済対策の効果などを背景に、マインドの改善にも支えられ、次第に景気回復に向かうことが期待される」とみている。
1〜3月期の経常利益は前年同期比6.0%増の14兆5278億円と5四半期連続の増益。製造業は28.3%増と2四半期連続で増加。自動車など輸送用機械業では円安進行を受けて為替差益が大きく出たほか、医薬品など化学も好調で、競争激化や原材料価格上昇が響いた食料品などの減益を補った。一方、非製造業は3.2%減で5期ぶりの減益。商社など卸売業などで収益が悪化した。
同統計は資本金1000万円以上の企業の収益や投資動向を集計。今回の結果は内閣府が10日に発表する1〜3月期の国内総生産(GDP)改定値に反映される。