金正日北朝鮮総書記死亡以後、停滞していた開城工団内の北朝鮮勤労者数がまた増える。開城工団関係者は北朝鮮の旧正月連休が終わる26日、開城工団に勤労者が400人程度、追加投入される予定だと明らかにした。
北朝鮮中央特区開発指導総局は毎月、開城工団の北朝鮮勤労者を少しずつ増やして来たが、キム総書記が死亡した去年12月以後、投入が持ち越されて来た。開城工団の北朝鮮勤労者は過去一年間、2千4百人余が増えた4万8千人余で、5万人突破を目前にしている。
北朝鮮が今週中にも、開城(ケソン)工業団地の労働者を約四百人増やす見通しとなった。韓国の聯合ニュースが二十四日、同団地関係者の話として伝えた。同団地では韓国企業が操業し、賃金はドルで北朝鮮当局に支払われる。労働者の手元に渡るのはこの一部だとの指摘があることから、北朝鮮当局が増員で獲得外貨増額を狙った可能性がある。
増員は昨年十二月の金正日(キムジョンイル)総書記死去を受けた「正恩(ジョンウン)体制」発足後は初めて。
北朝鮮側は金総書記死去後、弔問団を制限したなどと韓国政府を厳しく非難。二十四日も内閣機関紙「民主朝鮮」(電子版)が李明博(イミョンバク)大統領を名指しで批判しているが、増員を“復活”させたことから、正恩体制も金総書記時代と同様に、外貨獲得手段である同団地の維持、拡大を目指すのは確実だ。
一方、同団地では残業手当が支給されるほか、間食として労働者に渡される韓国製チョコパイなどが市場で取引されているもよう。今後も労働者が増え続ければ、北朝鮮内で資本主義の考え方の拡大や、市場経済浸透を促す可能性がある。
同団地は二〇〇四年十二月に第一号工場が操業を開始。進出企業、北朝鮮労働者ともに増え続け、現在百二十三企業で、約四万九千人が働いている。
一一年の製品生産額は十一月末までで約三億七千万ドル(約二百八十四億円)で、既に年間過去最高を記録している。労働者月給は最低賃金約六十三ドル(約四千八百五十円)に手当などを含めた百ドル(約七千七百円)前後とみられている。
一〇年三月の韓国哨戒艦沈没事件を受けて、韓国政府は同工業団地を除く南北交易・交流を全面的に中断した。北朝鮮が韓国から受け取り可能な収入源は、同団地の労働者の賃金などに限られている。
(2012/01/24 innolife.net「開城工団北勤労者、旧正月の連休直後から増」より)
(2012年1月25日 東京新聞「「開城」労働者400人増員 北、外貨稼ぎ狙いか:国際」より)