民主党の菅直人元首相は「今日の産経新聞が、私に発言させるなとの記事。報道機関が言論封殺を要求するとは前代未聞」と2013年5月16日のツイッターで、産経新聞のコラム記事に噛み付いた。
記事は「菅元首相には発言させるな」の見出しで、民主党が11日に開催した公開反省会で、「自分のことを割と常識人だと思っている」と発言したことや、過去に原発輸出推進派だったと批判したもの。「菅直人元首相に発言の場を与えない方がいい」と書いていた。
菅氏は「報道機関として自殺行為」と反論している。
◆菅元首相には発言させるな(政治部編集委員)
悪いことは言わない。民主党はもう、菅直人元首相に発言の場を与えない方がいい。この人が何か口にすればするだけ、「お前が言うな」と反発を買い、民心はさらに離れていく。
民主党が11日に開催した「公開大反省会」で、菅氏は無反省にも、いけしゃあしゃあと、こう語った。
「私は自分のことを割と常識人だと思っている」
鏡に映る自身の姿を見たことはないらしい。これを聞いて連想したのが昨年5月、国会の東電福島原発事故調査委員会の参考人聴取で、菅氏が述べた言葉だ。
事故発生後に東電本店に乗り込み、「逃げてみたって逃げきれないぞ」などと怒鳴り散らしたことを指摘された管氏は、不謹慎にもこんな言い訳をした。
「私の夫婦げんかよりは小さな声でしゃべったつもりだ」
原発事故原因と政府対応を検証する場面で、平気でおちゃらけてごまかそうとする。国民も国会もばかにしているとしか思えない。
その菅氏は最近、自身のブログで、トルコを訪問して原発建設の政府間合意に署名した安倍晋三首相を盛んに批判している。
「火力や自然エネルギーによる発電を勧めるのが福島原発事故を経験した我(わ)が国首相の取るべき立場」(5月5日付)
「儲(もう)かれば安全性など後回しでいいと考えているとしたらまさに『富国無徳』の総理だ」(5月6日付)
「日本自身が安全といいきれない原発を輸出するのは倫理的に許されない」(5月8日付)
そういう考え方もあろうかとは思う。ただし、菅氏が言うのでなければだ。
菅内閣は平成22年6月に閣議決定した「エネルギー基本計画」で、42年までに原発14基以上を新増設し、発電量の50%を原発で賄うという方針を打ち出した。
23年1月の施政方針演説には、わざわざ「私自らベトナムの首相に働きかけた結果、原発施設の海外進出が初めて実現します」との文言を盛り込んだ。原発ビジネス推進の旗手だとアピールしていたのである。
「私は3・11原発事故に直面して原発に対する考え方を根本的に変えた」
菅氏は6日付ブログではこう釈明している。だが、菅氏自身が事故後の23年7月にトルコのエルドアン首相に送った祝電でも、原発の受注交渉の継続を要請しているのである。
政府関係者によると、祝電の内容について「特に菅首相(当時)との間で、(変更指示などの)やりとりはなかった」という。
しかも、菅氏の後継者の野田佳彦元首相は在任中、「(原発に)関心を持つ国々の期待にしっかりと応えたい」と原発輸出の方針をとっていた。野田内閣の前原誠司国家戦略担当相も、こう明言していた。
「原発輸出を直ちにやめるものではない」
自身をはじめ民主党政権の過去の経緯には口をぬぐい、一方的に安倍首相を非難する。「天を仰いで唾する」ことこそが、菅氏の日常でありライフスタイルなのか。
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産経新聞が、読者や社会に向かって、民主党の菅直人元首相には「発言させるな」と書いたり、キャンペーンをしたりしているのであれば、言論封殺かも知れない。しかし、記事は「あの人が何か言う度にトラブルが起こる。黙らせていて」というレベルの内容であり、そういう言い方なら日常よくあることではないだろうか。