テスト内容や買い物リスト、電話番号……覚えたつもりが肝心な時に思い出せない! そんな悩みが減るかも知れない、超簡単な暗記術をご紹介しよう。
米国の研究者らが、「握りこぶし」で暗記力がアップすると発表した。ものを覚える時には右手を、それを思い出すときには左手を握りしめると暗記が容易になるというのだ。えっ、そんな簡単なことで暗記力がアップするの?
ニュージャージー州モントクレア州立大学の研究者らは、手を強く握ることが記憶を司る脳領域の活性化と関係すると考え、右利きの被験者51人を対象に次のような実験を行った。
1. ゴムボールを手の中で90秒間なるべく強く握り、直後に72個の単語を暗記する。
2. もう一度ボールを90秒間握った直後に、できるだけ多くの単語を思い出す。
被験者らは以下の5グループに分けられた。
・右手のみでボールを握るAグループ
・左手のみでボールを握るBグループ
・1を右手、2を左手で行うCグループ
・1を左手、2を右手で行うDグループ
・ボールを持っているだけで握りしめないEグループ
すると暗記するときに右手でボール握り、思い出すときに左手でボールを握ったCグループの被験者らが最も多く単語を思い出すことに成功した。これにより、暗記の前には右手を、それを思い出す前には左手を強く握ると効果があることが実証された。
右手が左脳、左手が右脳を活性化させることは、これまでの研究でも証明されていた。今回の実験から、記憶には右脳・左脳の両方が重要な役割を果たしており、右手を握る動作が記憶をストックする脳領域(左脳)、左手を握る動作が記憶を引き出す脳領域(右脳)を活性化させると考えられる。
実験を指揮したルス・プロッパー博士は、「こぶしを握るという簡単な動作が、脳の機能に影響をもたらし暗記力を向上させることが分かりました。今後は、人の顔などの視覚的記憶や、物を置いた場所などの空間的記憶も同様に向上が可能かを検証していく予定です。また今回の実験では被験者全員が右利きだったため、左利きの人でも同様の効果があるかも検証が必要です」と述べている。
お金をかけずに簡単にできる「握りこぶし暗記術」。皆さんも、何かを暗記しなければならない場面があったらぜひお試しあれ。