19日から3日間、ロシアで『主の洗礼祭(Крещение)』が行われた。これは、イエス・キリストがヨルダン川で洗礼者ヨハネから洗礼を受けたのを祝う儀式で、凍結した海や川の氷をくりぬき、水の中で体を清める伝統行事、ロシア正教の儀式である。この儀式は、ロシアだけでなく、世界中の東方正教で行われているのだが、この頃は「主の洗礼祭前後の厳寒(Крещениеские морозы)』と言われて、例年、ひちきわ寒さも厳しくなる。また、この時期の、特に儀式に使われる池(プール?)などの水は聖水なるとされていて、一年間は腐ることなく飲めるそうである。
ナザレのイエスはユダヤ教徒だったから、キリスト教の洗礼とは無縁の人である。ユダヤ教徒にとってヨルダン川での沐浴は肉体の穢れをおとす行いでしかない。それ以前に罪は許されているので、洗礼という儀式を以て罪の許しを得る必要はなかった。ただ、当時、ユダヤ教のなかに洗礼派と呼ばれた一派が現れていたが、その洗礼は罪の許しとは無関係である。洗礼も、生涯に3回であるとか、一回のみであるとか、さまざまだったようである。
東欧・ロシアでは今年は特に50度を下る記録的な冷冬も経験し、それによる死者も発生している。だが、それでもロシアの一部では寒中水泳の文化を決行した。何でも寒中水泳は宗教的儀式であるに留まらず、一瞬で血液を全身へ巡らせる効果もあるそうで、その結果としてウイルスなどの最近がすべて消滅するので、健康にも役立つそうである。事実関係は知らないが、日本でも「元旦の寒中水泳」という伝統行事があり、参観者によれば「寒中水泳で風邪知らず」という声もあるから、そうした傾向もあるのかも知れない。もっとも風邪知らずの人の多くは寒中水泳とは無縁だろうと思う。
12月26日、ロシアのシベリア地方にある幼稚園の風景が、中国のネットニュース上で紹介されている。温度は摂氏マイナス25度。しかしそんな事はお構いなし、先生はが子どもたちに水着になるよう指示をした。皆で水浴びの時間である。もちろん、これは生徒への罰ではない。また、園児たちは自由参加の形を取っており、両親や本人が拒めば凍てつく行水を行う必要はない。この活動を数ヶ月行うことによって、子供のウイルス対抗能力は大幅に増強されるのだという。