テニスの四大大会の今季第1戦、全豪オープンは19日、当地で女子シングルス3回戦を行い、世界ランク1位で第1シードのビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)はジェイミー・ハンプトン(米国)を6─4、4─6、6─2で下し、4回戦に進出した。
18日に行われた同3回戦では、第2シードのマリア・シャラポワ(ロシア)が第25シードのビーナス・ウィリアムズ(米国)を6─1、6─3で下した。第4シードのアグニエシュカ・ラドワンスカ(ポーランド)、第5シードのアンゲリク・ケルバー(ドイツ)、第6シードの李娜(中国)も勝ち上がった。
オーストラリア・メルボルンで開催中の全豪オープンテニス第5日、男子シングルス3回戦に臨んだ錦織圭(日清食品)は、ロシアのイェフゲニ・ドンスコイをストレートで破り、2年連続で4回戦に進出した。
シードは32選手。男子シングルスでベスト32に残ったノーシードは8人で、その中にはガエル・モンフィス(フランス)、バーナード・トミッチ(オーストラリア)といった昨年のグランドスラムのシード選手の顔もある。錦織の相手はまったくの伏兵、2回戦で同じロシアのミハイル・ユーズニーを倒した22歳のドンスコイだ。これまでグランドスラムの予選に7度挑戦して果たせず、これがメジャーのデビュー戦。ツアー開幕戦のチェンナイオープン1回戦で添田豪に1−6、2−6で敗れた格下とはいえ、昨年末にはランキングを自己最高の81位まで上げ、この大会の本戦でも2勝と、油断はできない。
暑さは引いたが、相変わらずの強風の中、ドンスコイが果敢に打ち込んできた。時速200キロまで出るサーブでなかなかチャンスを与えないが、打ち合いになれば錦織が優位。自在のラケットワークで徐々に主導権を引き寄せた。3試合連続の第1セットのタイブレークは危なげなく、4ポイント目、ラリーの応酬からフォアハンドを楽々とダウンザラインに流してミニブレーク。あっさり7−3で第1セットを奪った。
「タイブレークをしっかり取れたのは大きかった。ペースを上げるべきところでしっかり上げることができた」
気になったのは、セットの合間にトレーナーを呼び、左足首のテーピングを巻き直し、さらに第2セット途中では左ひざのテーピングもやり直したこと。「あ、大丈夫です。大したことじゃありません」
プロのプレーヤーが、現役中に自分の故障の具合を正直に申告するはずもなく、プレー内容から判断するしかない。ドンスコイが気落ちしたことも割り引かなければいけないが、第2セットに入ってからの錦織のファーストサーブの確率は72%まで上がり、そこからのポイント獲得率は100%。8ゲームでのウイナー数がリターンエース2本を含め11本で、ポイント数は相手13のところ、倍以上の28――ここは本人の言葉を信じても大丈夫そうだ。
これまでのグランドスラムで最高の第16シード。そのなかで、とりあえずはベスト16入りして責任は果たした。「16シードを付けられても、舞い上がることなく、良い意味で試合に慣れてきているのかと思います。ここから上を狙うには、ベスト8に入る次の試合が鍵なので、楽しみです。膝の故障もあって、ここまで来るとは思っていなかった。これからも目前の戦いを目標にしていきます」 次のダビド・フェレール(スペイン)は前哨戦のハイネケン・オープンで優勝して好調だが、対戦成績は錦織の2勝1敗。全米オープン、五輪の大舞台で勝っている自信は大きい。
トップ6が順当に勝ち残っている女子に目を移すと、マリア・シャラポワ(ロシア)の勢いが止まらない。2回戦まで1ゲームも落とさない「ダブル・ダブルベーグル」で迎えた3回戦、ビーナス・ウイリアムズ(米国)を相手にフル回転が続いた。ファーストサーブの確率は56%と良くなかったが、目の覚めるようなリターンを連発。第1セットの第1、第3ゲームを立て続けにブレークして4−0、3試合連続完封の勢いだった。それでも、そこは32歳になっても元祖パワーテニスのビーナス。第5ゲームはキープされ、会場が盛大な拍手で沸いた。第2セットも5−1まで一気に進んで、シャラポワのサービス。ここでビーナスが0−40と3本のブレークポイントを握れば、シャラポワがねじ伏せようと追いつく、迫力満点の見せ場を展開した。ビーナスが5本目のブレークポイントをもぎ取り、辛うじてメンツを保った。
女子は4強が抜きん出ており、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)vs.セリーナ・ウイリアムズ(米国)、シャラポワvs.アグニエシュカ・ラドワンスカ(ポーランド)の準決勝まで順当に進みそうな流れ。シード6位のナ・リ(中国)がどこまで行けるか。
なおダブルスでは、女子2回戦のクルム伊達公子(エステティックTBC)・アランチャ パラ・サントニア(スペイン)ペアは勝ち進んだが、添田豪(空旅ドットコム)・イェン スン ルー(台湾)組は男子2回戦で敗れた。