ロンドン(CNN) ロンドン中心部を飛んでいたヘリコプターが現地時間16日午前8時ごろ、新設された住居用ビルの上部にあった建設用クレーンと接触し、墜落した。パイロットを含む2人が死亡し、13人が負傷する惨事となった。現場では、火の手が上がり、黒煙がたちこめた。
ヘリコプターと接触したクレーンはビル上部で折れ曲がり、警察が周辺を封鎖し、住民らを避難させた。
現場周辺にいた男性は「たばこを吸いながら外に立っていると、ヘリコプターが物凄いスピードでクレーンに向かっていくのが見えた。パイロットはクレーンが見えてないようだった」と語った。
ヘリコプターの墜落現場となったロンドン南部のボクソール地区はテムズ川の近く。ビジネス街や住宅街が入り混じった地区で、英対外情報部(MI6)の本部ビルなどもある。
現場近くにいたCNNのプロデューサー、ジェームズ・ウイップス氏によれば、ヘリコプターのローターの音が突然途切れたという。ウイップス氏は衝突の瞬間は見ていないものの、窓の外をのぞくと「突然、巨大な火の玉と黒い煙が見えた」という。
ウイップス氏によれば、多くのヘリコプターが付近を飛んでいるが、今回事故を起こしたヘリコプターは、通常よりも南側を飛んでいたようだという。
事故の原因はまだ判明していないが、16日の朝は霧や垂れ込めた雲のせいで視界が悪かったという。
警察によると、操縦士1人と通行人1人が死亡したほか、少なくとも13人が負傷した。事故は朝のラッシュアワー時に起き、付近の車数台が巻き込まれて炎上した。
ヘリコプターが接触したのは、テムズ川(River Thames)南岸のボクソール(Vauxhall)地区で建設中の51階建て高級マンション「ザ・タワー(The Tower)」の上部にあったクレーン。事故当時、マンションの上部は霧に包まれていた。警察はテロ攻撃の可能性はないとしている。
ヘリコプターに搭乗していたのは死亡した操縦士のみとみられている。ロンドン・ヘリポート(London Heliport)の関係者によると、操縦士は悪天候のため針路変更を余儀なくされ、墜落現場から5キロ離れた同ヘリポートへの着陸許可を求めていたという。
ヘリを操縦していたパイロットが『プライベート・ライアン』『007/ダイ・アナザー・デイ』の製作に参加していたとThe Hollywood Reporterが報じた。
この事故は当日の早朝、ロンドン中心部を飛んでいたヘリコプターが、建設中の高層ビルに設置されたクレーンと接触し、墜落したもの。CNN.com Internationalなどによると、これによりパイロットのピート・バーンズと歩行者の2名が死亡。13人が負傷する惨事となった。
Telegraphなどによると、ヘリを操縦していたピートは1万2,000時間以上の飛行時間を持つパイロットで、救急ヘリのパイロットとしての経験もあった。また広告関連やテレビ番組関連の仕事にも従事し、『プライベート・ライアン』『007/ダイ・アナザー・デイ』『トゥームレイダー2』など、映画にも参加していたという。
墜落現場は『007 スカイフォール』など「007」シリーズで知られるMI6(イギリス情報局秘密情報部)の本部ビルにほど近いロンドン中心部。事故当時、現場には霧が立ち込めていたといい、ピートが操縦するヘリはクレーンに激突する前から、コントロールを失っているように見えたとする目撃証言もある。