台湾大手の中国信託商業銀行(台北市)が第二地方銀行の東京スター銀行を買収する方向で 交渉している。米投資ファンドのローンスターなどが保有する普通株式をほぼ全て買い取る計画。500億円前後を提示しており、日本での金融取引を拡大するのが狙いだ。成功すれば外銀による初の邦銀買収となる。
中国信託は年明け以降、東京スターの財務内容を査定。ローンスターや新生銀行、 仏金融大手クレディ・アグリコルなどの株主側と株式の取得条件を調整し、買収額を確定させる。
金融庁から認可を得られれば、買収に乗り出す方針だ。
同行の買収は、市場規模の大きい日本で取引を拡大し、個人向け金融サービス販売などに注力することによって、同行の収益拡大を狙いとするとみられる。過去、外資ファンドが日本の大手銀や地銀を買収したことはあったが、買収が実現すれば、外国銀行による初めての邦銀買収となる。
これまで、海外の金融機関に比べれば財務内容が健全な邦銀がそれらを買収・出資するケースが多かった。最近では、経済発展で力を蓄えたアジアの銀行が新たな収益源を求めてM&Aを進める動きがみられる。
地銀は、人口減が続く一つの地域に複数の銀行が存在するケースが多く、収益力の低下が問題となっていた。今回の中国信託商業銀行の買収計画は、地銀の再編を促すきっかけとなることが予想される。
2009年10月のギリシャ政権交代による国家財政の粉飾決算の暴露に端を発した欧州危機によって、海外金融機関は厳しい状況に置かれていた。以前はそれを救済すべく邦銀が海外金融機関を買収するケースが目立った。
今回の買収計画は、欧州危機を脱しつつあるアジア圏の経済発展を象徴するものと考えられる。これは、今後、日本の金融機関が海外の金融機関との厳しい競争関係になることを予期させるものである。
※第二地方銀行
第二地銀は昔の相互銀行が1989年に一斉に普銀に転換したもので、相互銀行とは、戦前の無尽会社が1951年に銀行に転換したものです。無尽会社というのは、一種の相互融通金融であり、地場の小さな企業や商店などが掛け金を出し合い、それにもとづいて入札で融資をするというシステムです。
はじめは各地に多くの無尽会社があったのですが、昭和初期に国の指導でだいたい一県一無尽に統一されています。今では実際に第二地銀がしている業務は普通の銀行と変わりませんが、相互銀行がわざわざ普銀に転換したのは、昔を知っている人たちが「相互」ということばでこの無尽会社のシステムの記憶を呼び起こされて「嫌な想い出がある」からだったと言われています。小さな規模の金融業者が銀行と同じ業務をやるようになったのが第二地銀だということでしょうね。
一般社団法人第二地方銀行協会(The Second Association of Regional Banks)の会員であり、金融庁の「免許・登録業者一覧」に於いて「地域銀行/第2地方銀行」とされた銀行である。
東京スター銀行は、会員から営業を譲り受けることを目的として新たに免許を受けた銀行で、譲渡元は東京相和銀行。