先週、辞表を提出した、イタリアのモンティ首相は、改革路線を継続するため、中道の政党連合を率いて、来年2月の議会選挙に臨み、2期目を目指す考えを示しました。
イタリアで1年余りにわたって信用不安対策に取り組んできたモンティ首相は、政権を支えてきたベルルスコーニ前首相の中道右派政党の支持を失い、政権運営が困難になったとして、先週、辞表を提出し、来年2月に議会選挙が行われます。
モンティ首相は28日、複数の中道政党の代表と協議したあと記者会見し、中道の政党連合を率いて選挙に臨み、2期目を目指す考えを示しました。モンティ首相は「イタリアはヨーロッパの統合と改革に重点を置く政治連合を必要としているが、これまでの左派や右派の政党はそうはなっていない」と述べました。
議会選挙では、モンティ首相が進めた財政再建や構造改革を継続するか見直すかが争点になる見通しです。
世論調査では、財政再建を進めつつ経済成長をより重視する、中道左派の「民主党」への支持が最も高く、これに、緊縮策に反対する政治グループ「五つ星運動」や、ベルルスコーニ前首相が率いる「自由国民」が続いています。
モンティ首相に対しては、別の世論調査で財政緊縮策の影響もあって、続投を求めない人が過半数に達していますが、国際的な信頼の厚さから、経済界を中心に続投を求める声も根強くあります。23日には改革を継承する政治勢力から要請があれば続投を検討する考えを示していました。同氏は中道派議員らとの会合後、右派と左派に分かれるイタリアの政治は歴史的・象徴的価値があるとしながらも、「イタリアが必要としているのは欧州と改革に焦点を当てた本物の連携だ」と述べました。その上で「中道派連合の指導者を引き受ける用意がある」と言明しました。 同氏は終身上院議員のため選挙に出馬する必要はありません。2月24─25日の総選挙では中道右派でベルルスコーニ前首相が率いる自由国民党(PDL)、中道左派の民主党(PD)との三つどもえの戦いとなる見込みですが、モンティ氏は「かなりの成果」を上げることが可能との見通しを示しています。
モンティ首相が中道の政党連合を率いることで、選挙戦の構図は大きく変わるとみられます。複数の世論調査でPDがリードしてるものの、モンティ氏が率いる中道派連合は11─15%の支持が期待できるとの調査結果も出ています。