ロシア北部ムルマンスク州の路上で26日朝(日本時間同午後)、自転車に乗っていた男性が車にはねられて死亡した。在モスクワ日本大使館は26日夜、パスポートなどから、この男性は2004年に7大陸最高峰を日本人最年少の22歳で制覇した渡辺大剛(わたなべはるひさ)さん(31)の可能性が大きいと明らかにした。
大使館は現地からファクスで送られたパスポートや九州産業大(福岡市)の学生証を渡辺さんのものと確認。遺体は事故があった同州カンダラクシャ地区の病院に安置されており、27日以降の大使館員の派遣を検討している。
タス通信によると、車に乗っていたのは56歳の男性。事故時は酒に酔ってはいなかった。
静岡県に住む渡辺さんの父、裕恭さんは共同通信に対し、日本大使館からの電話で死亡した男性が渡辺さんのパスポートを持っていたと伝えられたことを明らかにした。
裕恭さんによると、渡辺さんは中央アジアからロシアを自転車で旅行中。10日ほど前の電話で「これからムルマンスクに入るところだ」と話していたという。
ロシアのメディアは、渡辺さんはテントや寝袋、携帯こんろなどを持って自転車で一人旅をしていたと報道。北極圏の現地は、太陽が一日中ほとんど昇らない季節に当たり、道路は暗く見通しが悪かったとみられる。周辺は当時、氷点下27度で小雪が舞っていた。