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エジプト新憲法案、「承認」が優勢に 第1回国民投票締め切り 軍は存在感を高める

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 新憲法案をめぐるエジプトの第1回の国民投票が15日夜に締め切られ、16日までに賛成票が優勢になった。新憲法案の成立を目指すモルシ大統領側が明らかにした。22日の第2回投票後に最終結果が判明する。新憲法案にはリベラル派や旧体制派が反対しており、承認されても内政の混乱は続く見込み。存在感を高める軍が政治介入する懸念も強まっている。

 エジプトの国民投票は15日にカイロなどで実施され、残る地域で22日に投開票される。第1回の投票について、大統領の支持母体であるイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は16日に独自の集計結果を公表。新憲法案への賛成票が有効投票数の56.5%になったとした。正式発表は22日の第2回投票後になる。

 ただ、リベラル派などを中心に、大統領の権限を強化する新憲法案への反対は根強い。モルシ大統領寄りの同胞団の集計結果でも第1回投票での反対票は4割以上に達する。最終的に国民投票で新憲法案が成立しても、反大統領派の連合体である「救国戦線」はモルシ政権との対立姿勢を続ける見込みだ。今回の国民投票についても選挙違反などを理由に不正投票と非難を強めている。

 内政混乱のなか、急速に存在感を高めているのがエジプト国軍。軍トップのシシ国防相は今月11日、大統領側と反大統領派に対話を提案した。「再び大きな衝突が起きるなど(モルシ政権が)統治能力を欠いたと判断すれば、軍は介入する」(アハラム政治戦略研究センターのショバキ研究員)との見方もある。

 モルシ大統領と国軍は微妙な関係にある。8月には当時の軍トップだったタンタウィ氏をモルシ大統領が解任。大統領が軍を掌握したかに見えたが、「大統領と軍は一定の緊張関係にある」(カイロ大学のハッサン・ナファ教授)との指摘も少なくない。

 地元メディアでは「大統領側が軍を取り込むのに躍起になっている」(地元紙アハラム)との分析もある。

 実際、モルシ大統領や同胞団は軍に配慮する姿勢を見せている。新憲法案では国防相の任命権は軍に属すると規定したほか、他国への宣戦布告についても安全保障会議に諮るとした。ホテルやレジャー施設の運営など、軍が持っている経済的な特権も事実上、黙認している。大統領側と反大統領派の対立が激しくなり、モルシ大統領の政権基盤がさらに弱体化すれば、軍の発言力が一段と増す可能性もある。


 エジプト新憲法案の是非を問う国民投票が15日、カイロ、アレクサンドリアなどで始まった。ムルシ大統領に近いイスラム主義者が起草を主導したため、手続き面の不満やイスラム色が強まることへの懸念から世俗・リベラル派、少数派キリスト教徒らが反発、大統領支持派との間で賛否は二分している。

 新憲法案は、旧憲法(1971年制定)、革命後の軍政が出した憲法宣言(暫定憲法)に代わるもの。選挙監視に当たる判事らの一部が監視をボイコットしたため、地域別に15日と22日に分けて実施され、有権者約5100万人の投票数の過半数で承認される。新憲法に基づく議会選挙などの民主化をイスラム主義者主導で早急に進めるか、手続きをやり直し、コンセンサスに時間をかけるかが主な争点だ。

 穏健イスラム組織ムスリム同胞団出身で、自らの権限強化の大統領令(その後撤回)などで混乱を招いたムルシ氏に対する信任投票の意味合いもある。ムルシ氏は野党勢力に対し、投票を予定通り実施し、否決されれば起草委員会を新たに選ぶと表明。野党勢力は投票に参加した上で否決を目指す方針に切り替えた。

 新憲法案は、ムバラク氏が約30年の長期支配で独裁体制を築いた反省から、大統領任期を旧憲法の6年から4年に短縮、再選も無制限から2期8年に限定した。ムバラク時代には大統領就任直後の戒厳令が長年維持され、憲法の権利規定の大半が形骸化していた。

 イスラム法(シャリア)については、シャリア自体の導入を目指すイスラム厳格派(サラフィー)の主張を退け、その「原則」を立法の主要な法源とする旧憲法の表現を維持。ただシャリアの「原則」を定義した条文が追加された。そのあいまいさから、拡大解釈を懸念する声もある。

 キリスト教徒、ユダヤ教徒について、婚姻などの私法を教会の規範にゆだねる条文を追加。両教徒に配慮した形だ。これまで事実上、政府の管理下にあったイスラム教学の最高機関アズハルについて、自治権を明記した。一方で信教の自由の対象となる宗教は、イスラム、キリスト、ユダヤの3大一神教に限定されているとの指摘がある。

 女性の権利については、男性との平等を保障した旧憲法の表現が削除されたことに懸念する声がある。新憲法案は広範な基本的人権を定めた国際人権規約に対する順守を明言していない。報道、出版などの自由に関しては、旧憲法同様、戦争時の検閲などの例外規定を含んでいる。






















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