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票稼ぎの郵政改革に金融庁が「待った」 抜けない郵政の政治臭

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 日本郵政傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命が申請している新規業務の認可をめぐって、政府内が紛糾している。

 事の発端は9月3日にさかのぼる。日本郵政は郵政民営化委員会(委員長・西室泰三東芝相談役)に対し、かんぽ生命の既存商品や学資保険の見直しとゆうちょ銀行による個人向け、法人向けローンの取り扱いを申請した。これを受けて民営化委は11月22日、学資保険について了承。総務省と金融庁は30日、民営化法に基づいて認可した。

 ところが、である。金融庁は保険法上の認可について、保険金の支払い態勢の整備など8項目の条件をクリアすることとした。事実上、認可を棚上げしたのである。ゆうちょ銀やかんぽ生命は、民営化法による認可と銀行法や保険法に基づく認可の両方がなければ新規業務を行うことができない。

 金融庁が問題視したのは、かんぽ生命による10万件に及ぶ保険金の不払い問題だ。今春に実施した同庁の検査で発覚した。その後、同庁とかんぽ生命はこの問題に関する議論をしていた。

 不払い問題が民営化委に伝えられたのは11月15日。審議が大詰めを迎えた段階だった。審議に出席した金融庁幹部が説明し、学資保険の認可に慎重な見解を示している。22日の審議では日本郵政も不払いの事実を認めた。

 これに対する民営化委の姿勢は釈然としない。22日に学資保険の見直しを了承したものの、30日には「ゆうちょ銀行およびかんぽ生命保険の新規業務の調査審議に当たって」という文書を公表。その中では「監督当局の検査監督と金融2社の態勢整備に向けた努力が日々適切に行われていることを前提に、(中略)議論を行ってきた」としており、不払いを早く報告しなかったことに対する不満をにじませた。

 一方で、西室委員長は同日の記者会見において、「あの範囲であれば、最終的な判断に影響はない」と述べている。聞きようによっては「大したことではない」と受け取れる発言だ。

 その直後、中塚一宏金融担当相は不払い問題について「誠に遺憾であり、重大なこと」と話した。両者の認識には明らかに温度差がある。

 日本郵政の新規業務参入について、次の焦点になるゆうちょ銀のローン取り扱いについても、すんなり認可されることはないだろう。中塚金融担当相は「(金融庁内の)審議はほとんど進んでいない。検証すべき項目は多い」としており、認可の結論を導き出すのはそうとう先になるという考えを示している。民営化委は12月12日のヒアリングと審議を経て「今年中には最終判断する」(西室委員長)方針だが、金融庁がこのタイミングで銀行法上の認可を与える可能性はないといって間違いない。

 政府内でこのような不協和音が生じたのは、そもそも郵政民営化の枠組みにまずさがある。それを際立たせているのは、総選挙目前という政治的事情だ。

 民主党連立政権下において郵政民営化見直しの牽引役となった国民新党では、下地幹郎郵政民営化担当相が一気に新規業務の認可に前のめりになった。民主党でも「樽床伸二総務相が認可の姿勢を積極化させた」(同党議員)という。

 その背景にあるのは、特定郵便局長会に象徴される全国の郵政票だ。総選挙を12月16日に控え、票の取り込みに向けた動きが活発になっており、日本郵政の問題は政争の具にされた。

 今回は政治圧力を金融庁が突っぱねた格好だが、総選挙後はいかなる展開になるのか。少なくとも、郵政問題から政治臭を払拭できる見込みは乏しい。


























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