東京都港区六本木のクラブで9月、飲食店経営、藤本亮介さん(31)が目出し帽をかぶった集団に殺害された事件で、現場に金属バットなどを持って集まった10〜30代の15人の男を警視庁捜査1課が特定し、凶器準備集合容疑で逮捕状を取った。大半が六本木を拠点とする暴走族グループ「関東連合」の元メンバーとみられる。
逮捕状の容疑は、9月2日午前3時40分ごろ、襲撃目的でクラブ付近の路上に金属バットなどの凶器を持って集まったとしている。
捜査関係者によると、逮捕状が出ている男のうち、約半数が事件直後、ハワイや中国、フィリピンなどへ出国したことが確認されている。警視庁は国内に残った元メンバーの所在確認を進めており、居場所が判明すれば順次、事情聴取に踏み切る方針。容疑が固まれば同容疑で逮捕する。
事件は同日未明にクラブ「フラワー」で発生。VIP席で友人らと酒を飲んでいた藤本さんが、店内に突然侵入してきた男らに金属バットなどで殴られ死亡した。現場近くの防犯カメラには、ワゴン車2台から降り、店へ向かう男9人と運転手2人の姿などが写っていた。
この映像を公開したところ、元メンバーらの関与を指摘する情報が寄せられた。また、現場から逃走した2台のワゴン車のうち1台は、元メンバーが役員を務める都内の会社名義だったことが判明。同課はこの会社を殺人容疑で家宅捜索するなどして、実行役らの特定を進めていた。
複数の暴走族の連合体だった関東連合は03年に解散したが、元メンバーらの結びつきは今も強いとされる。ここ数年、六本木周辺などで起きた芸能人らが絡んだ事件やトラブルでも、元メンバーが関与するケースは少なくない。
10年に歌舞伎俳優、市川海老蔵さんが暴行されて大けがをした事件では、元メンバーの男が傷害容疑で逮捕された。昨年12月に山口組系元幹部ら5人が暴行され重軽傷を負った事件では暴力団組員が逮捕されたが、関東連合の元メンバーが関与した疑いもあり捜査が続いている。最近では元リーダーの石元太一被告(30)が振り込め詐欺に関与したとして逮捕・起訴された。
捜査関係者らによると、関東連合OBグループは30〜40代を中心に50人程度。人脈を生かし芸能プロダクションや広告代理店などを経営しているとされる。しかし、違法行為への関与も指摘され、警視庁などは対策を強化している。