21日午後10時50分ごろ、東京都板橋区赤塚3のマンションで女性の遺体が発見される事件があり、警視庁捜査1課は22日、遺体の身元について、同所に住む主婦、荒井久美さん(34)と発表した。胸などを刃物で刺され、室内を物色した跡もあったことから、同課は高島平署に捜査本部を設置し、強盗殺人容疑で捜査を始めた。
捜査本部によると、帰宅した会社員の夫(37)が死亡している荒井さんを発見し110番した。マンションは2階建てで1、2階がつながったメゾネットタイプ。荒井さんは2階寝室の床に足首を縛られた状態であおむけに倒れており、胸や背中を十数カ所刺されていた。検視の結果、死後半日程度で、死因は失血死とみられる。22日午後に司法解剖して詳しい死因を調べる。
荒井さんは夫と2人暮らし。2階の寝室や居間に物色された跡があり、押し入れの扉などが開いていた。1階の窓ガラスが割られ、室内には靴跡が残っていた。夫が帰宅した際、玄関は施錠されておらず、電気は消えていた。
また、荒井さんは外出用のワンピース姿で着衣に乱れはなかった。バッグには21日午後3時半ごろ、東武東上線成増駅近くのドーナツ店で買い物をしたレシートが残っていた。夫は捜査本部の調べに「給料日なので、妻に『お金をおろしてくれ』と頼んでいた」と説明。捜査本部は、現金引き出しの有無や事件との関連を調べる。夫は「誰かとトラブルになっていたという話は聞いていない」と話しているという。
マンションの管理会社によると、荒井さん夫婦は09年から入居していた。現場近くに住む男性(48)は「高齢の母と2人暮らしなので、とても怖い」と話した。近所の人などによると、現場周辺では最近、空き巣が多発していたという。近所の高齢男性は「近くの美容院も春ごろに2度やられた」。70代の女性も「この辺りは短時間の外出では鍵をかけない家もある。出掛けている間に空き巣に入られて約20万円を盗まれた」と話した。現場は成増駅から南東約400メートルの住宅街。