2012年3月10日に行われた、ドリーム モーニング娘。スペシャルLIVE 2012 日本武道館 ~ 第一章 終幕「勇者タチ、集合セョ」~」の模様を収録「ドリーム モーニング娘。スペシャルLIVE 2012 日本武道館 ~ 第一章 終幕「勇者タチ、集合セョ」~ [DVD]」が6月20日に発売される。
【送料無料】ドリーム モーニング娘。スペシャルLIVE 2012 日本武道館 〜 第一章 終幕「勇者タチ、集合セョ」~
モーニング娘。OGメンバーで結成されたドリーム モーニング娘。が、3月10日、日本武道館にて<ドリーム モーニング娘。スペシャルLIVE 2012 日本武道館 〜 第一章 終幕 「勇者タチ、集合セヨ」 〜>を開催した。この公演をもってドリーム モーニング娘。の活動は一旦休止。ライヴには、後輩の現役モーニング娘。と、モーニング娘。OGから石黒彩と辻希美、さらに、現在活動休止中の後藤真希がサプライズで登場し、ドリムス。第一章の終幕に華を添えた。
モーニング娘。が誰も見たことがない未来を見せてくれるグループとすれば、ドリーム モーニング娘。は、誰もが一度は夢見たものを再び見せてくれるグループと言えるだろう。そんな彼女たちの、最後に見せてくれる夢とは一体どんなものなのか。武道館の一番上まで埋め尽くした約1万人のオーディエンスは、この日、開演前から胸を踊らせていた。
また、そんな夢の目撃者となるべく、クリス松村、ミッツ・マングローブ、オリエンタルラジオの藤森慎吾、大沢あかね、スザンヌ、益若つばさ、柳原可奈子、X-GUNの西尾季隆、しずる、さらに真野恵里菜、藤本美貴、Berryz工房、℃-uteなど仲間たち、後輩たちも客席に姿を見せた。
そして我々は、2012.03.10。この日本武道館で、想像を超える夢=奇跡を目の当たりにすることになる。
ライヴ冒頭。メンデルスゾーンの「結婚行進曲」が鳴り響きざわめく会場。昨今、ハロー!プロジェクトのライヴでは冒頭に“大切なお知らせ”が行なわれることが多く、また今回はメディアも多数詰めかけていたため、“何か発表があるのではないか”と心がざわついたファンもいたかもしれない。
しかし、結果的にこの「結婚行進曲」は演出のひとつ。ウェディングドレスをイメージした衣装で「ハッピーサマーウェディング」からライヴは幕開け。9人のドリムス。メンバー(妊娠中の藤本美貴は今回不参加)はステージ上で会場からの大歓声をシャワーのように浴びる。
ライヴは序盤から「抱いてHOLD ON ME!」や「そうだ! We're ALIVE」といったヒット曲のオンパレード。色とりどりのサイリウムが会場を染め上げ、激しく揺れる。「女子かしまし物語(ドリームモーニング娘。武道館ver.)」での保田圭の“投げキッス”や“ウインク”に対するオーディエンスからの「オエ〜っ」も一致団結。日本武道館を埋め尽くした1万人の「オエ〜っ」にはむしろ爽快感すら漂う。
さらに、すべてはここから始まったモーニング娘。のデビュー曲「モーニングコーヒー」は、往年のファンにとってはたまらない1期と2期メンバーの5人で披露される。卒業を繰り返すモーニング娘。の歴史の中で、結成メンバー(中澤裕子、飯田圭織、安倍なつみ)と、それに続く2期メンバー(保田圭、矢口真里)が、2012年の今に再び集まってデビュー曲を歌う。最後の1期メンバーの飯田、同じく2期メンバーの矢口が相次いで卒業した2005年当時には、こんな光景は2度と見られないと思っていた。しかし、ドリーム モーニング娘。は、こんな夢も叶えてしまう。
そして中盤。つんく♂ver.の「シャイニングバタフライ」が突然鳴り響き、つんく♂プロデューサーが登場。いよいよゲストを含めたサプライズの幕開けだ。まずは後輩・現役モーニング娘。たち。ずっと憧れの対象だったモーニング娘。OGメンバーたちとの共演に、リーダーの新垣里沙も「私はほんとモーニング娘。が大好きなので、ステージを見せてもらって、自分でチケットを買ってライヴに行ったのを思い出しました。」と、ファンだった頃の気持ちを思い出して熱くなっている様子。田中れいなは、自身のデビュー曲だった「シャボン玉」のパフォーマンスを見て「デビュー当時、ほんとつらかったなって思いだしてちょっと涙ぐんだ。」と、会場を笑わせる。モーニング娘。は、4月11日リリースの新曲「恋愛ハンター」で、会場を盛り上げた。
続いて登場したのは、「王子様と雪の夜」の黄色いドレスを彷彿とさせる衣装を身にまとったタンポポだ。飯田圭織、矢口真里、石川梨華、そして2000年に卒業し、12年ぶりのステージとなる石黒彩の姿も。安倍と中澤がMCに参加していたこともあり、この瞬間、ステージ上にて、モーニング娘。1期メンバー5人のうち4人が顔をそろえることに。「いやー、うれしいですよ。あやっぺ何も変わってないじゃないですか?」と、安倍なつみもこの奇跡を共有できたことに対して、心から興奮しているのがわかる(なぜなら北海道の訛りが全開だったから)。さらに中澤裕子が「今日はみなさんの心の中に、福田明日香も思い出してください!」とファンに向けて呼びかけると、まさに会場は歓喜。石黒は、「ほんとに12年ぶりで久しぶりなんだけど、久々で壁とかあるのかなって思ったけど、全然なくて、それがうれしかった。」と、昔と何も変わらない仲間たちとの再会の喜びを語り、そして、タンポポとして「ラストキッス 〜 たんぽぽ」のメドレーを披露。「ラストキッス」イントロの鍵盤のフレーズから、オーディエンスの驚きの声は地鳴りのように日本武道館を揺らし続けた。
サプライズは続く。しかも、誰も予期していなかったであろうサプライズが。
次に登場したのは、なんとプッチモニ。保田圭と吉澤ひとみに挟まれて、もうひとり。そう、彼女が、ステージに姿を現したのだ。“活動休止”を掲げつつも、それとは別の判断で、この“お祭り”をもうひと盛り上がりさせるために、もしくは、仲間たちに自身のラストライヴの時の借りを返すために。
「粋だなぁ。江戸っ子だなぁ。」と思わずにはいられない。活動休止と打ち出しておいて、ライヴという表舞台に出るとなると、少なからず、世間からはいろいろ言われることだろう。自分を客観的に見ることができる彼女だから、もちろんそのことも理解している。しかし彼女は出てきた。それは、世間からの余計な推測や心ない言葉たちにその身を傷つけられることと引き換えにしてまでの、かつて、ともに戦った仲間たち、自分を育ててくれた場所への“気持ち”があってのことだろう。
今日一番の大歓声に包まれる武道館。その声はステージ上のつんく♂プロデューサーや、登場した後藤真希自身の「いやー、ビックリした。」という声をもかき消すほど。割れんばかりの大ごっちんコールが物語る、オーディエンスの興奮度。そんな会場に向けて満面の笑みで後藤は「いやー、みなさんお久しぶりです。後藤真希でーす! はい、ほんとに、久しぶり過ぎて。いや、まず、武道館も久しぶりだし、プッチモニもほんっとに久しぶりだし。いやー、ほんと、今回、リハーサルの時から、まぁ、プッチの昔の当時の振りのビデオを見まして。『うわー、懐かしい。若い。ちょっとナヨナヨしてる』みたいな。いや、だいぶですけど。だけど、今回、完成形がようやく、はい。」と、10年の年月を経てついに2期プッチモニの完成形への期待を煽る。さらに保田圭から「このふたり(後藤と吉澤)も、私のことバカにするんです!」と、リハーサルの段階でも“圭ちゃん弄り”が行なわれていたことが暴露されるなど、こちらも昔と何も変わっていない様子。そして復活した2期プッチモニは「ちょこっとLOVE 〜 BABY! 恋にKNOCK OUT!」のこれまた懐かしい大ヒット曲をメドレーで披露する。曲中にはオーディエンスからごっちんコールも飛び出す。
さらに辻希美も合流して全員で「ザ☆ピ〜ス!」。その瞬間、モーニング娘。の1期から10期まで、ほぼすべてのメンバーが顔をそろえるという、かつて誰も見たことがない、誰も予想していなかった情景が眼前に広がった。この熱狂を引き継ぐ形で、ドリーム モーニング娘。は、「サマーナイトタウン」に「恋のダンスサイト」、そして「LOVEマシーン」。さらにアンコールで「恋愛レボリューション21」とメガトン級のヒットナンバーを立てつづけに披露する。そしてラストには、ハロー!プロジェクトを代表するメッセージソングのひとつ「でっかい宇宙に愛がある」で、歓喜と興奮、奇跡が渦巻いたドリーム モーニング娘。第一章は幕を下ろした。
終演後も鳴り止まない「アンコール!」と「ドリムス。最高!」の声。そして、オーディエンスだけでなく、報道関係者やスタッフからも聞こえてくる「すごかった」という声。これが、この日のドリーム モーニング娘。日本武道館公演を最も端的に、そして最も的確に言い表した言葉だと思う。
我々が夢見た数々の景色をステージ上で再現してくれたドリーム モーニング娘。の日本武道館公演。同時に彼女たちは、そのパフォーマンスを見守った後輩たちに向けて、アイドルグループとしてのエンターテインメントの本質とは何なのか、ということを体現してみせた。なぜ、ドリーム モーニング娘。に対して、これほどまでにワクワクしたのか。ドキドキして、片時もステージから目を離せなくなってしまったのか。ヒントはきっと、そこにある。
そして、先輩たちから脈々と受け継がれているモーニング娘。の伝統。そのひとつは絆。同じ時間を共有したメンバーとしてだけでなく、メンバーという枠を超えた仲間として、ひとつの家族として、もしくはファンも含めた共同体として。それは世代を超えて、そしてたとえ離れても、どこかでつながっている。ドリームモーニング娘。とモーニング娘。、そしてゲストたちとの関係に、そんな絆をあらためて確認することができた時間でもあった。
最後に安倍なつみは、「したっけねー!」という言葉を残してステージを降りた。北海道弁で「また会いましょう」という意味のそれは、ドリーム モーニング娘。としての再会の言葉。「第一章終幕ということで、寂しいなぁって思うんですが、一章だから二章があると思って、いつでも集合がかかっていいように体力つけときます。」という飯田圭織をはじめ、ほかのメンバーも今回の公演について“第一章が終わったに過ぎない”という意味に捉えている。
ドリーム モーニング娘。第一章の終幕は、第二章に向けてのはじまり。次はどんな夢を見せてくれるのか。どんなドキドキやワクワクが用意されているのか。今回のドリーム モーニング娘。の活動に足を運ぶことができなかったという人、行きたかったけど行けなかった人、懐かしい気持ちになって興味が湧いた人、そんな人たちは、いつか次の幕が上がった時に参加をすればいい。たとえ彼女たちから心が離れていた期間があったとしても、彼女たちは、そして周りのファンは温かく迎え入れてくれるだろう。
共同体としての絆は、つながっているのだから。
「ほんとに、去年1年、そして今日まで、たくさんの夢を……たくさんの私たちの夢を叶えてくれたファンのみなさん、スタッフのみなさん、ほんとに、ありがとうございました。第一章終幕ではありますが、ドリーム モーニング娘。は不滅だと思います。モーニング娘。が頑張り続けてくれる限り、私たちも頑張らなければならないと思います。いつか必ず、また会いましょう!」── 中澤裕子
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なお、ドリームモーニング娘。メンバーは、アップフロントグループが行なっている震災復興プロジェクト「がんばろうニッポン 愛は勝つ」プロジェクトにも参加。2011年12月には被災地のひとつ、宮城県(仙台、石巻、岩沼ほか5カ所)を訪れており、今回、彼女たちが訪問した被災地域に住む70名が本公演に招待された。
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