かつて紡績工場だった大阪府泉大津市内の2階建て建物が、大麻草180本を水耕栽培できる大規模な密造プラントに造り替えられていた、と大阪府警が13日発表した。家宅捜索で大麻約9キロ(末端価格5千万円相当)と大麻草59本を押収し、男女2人を大麻取締法違反の疑いで現行犯逮捕した。背後に密売ルートがあるとみて捜査している。
薬物対策課によると、建物2階(約130平方メートル)に広さ20平方メートルほどの栽培室が三つあり、水を流すプラスチック製のパイプ(直径約20センチ)が張り巡らされていた。パイプには約180カ所に穴(直径約10センチ)が開けられ、大麻草を挿し木して水耕栽培できるようになっていたという。天井にはライトや送風機が設置され、光量や室温などを調整していたとみられる。
昨年9月、泉大津市内に大麻の密造プラントがあるようだ、と府警に情報提供があり、閉鎖されたのに電気が使われている不審な工場にたどりついたという。
2人の逮捕は2月10日で、大阪府高石市西取石7丁目の無職北原和之(46)と、建物の所有名義人で内縁の妻の山田恵(39)の両容疑者。逮捕容疑は10日、大麻約50グラムを密売目的で建物に隠し持っていた疑い。北原容疑者は「大麻を売るつもりはなかった」と容疑を一部否認し、山田容疑者は「建物には行ったことがない」と否認している。
水耕栽培のプラントを設置して倉庫を「大麻工場」に改造し、大麻を販売目的で隠し持っていたとして、大阪府警薬物対策課などは13日までに、無職、北原和之容疑者(46)=大阪府高石市西取石7=ら2人を大麻取締法違反(営利目的共同所持)の疑いで現行犯逮捕した。同容疑者は「栽培したが、売るつもりではなかった」と容疑を一部否認している。
同課によると、倉庫2階(約130平方メートル)にはパイプが張り巡らされた3部屋があり、水や養分を流し、水銀灯を照射するなどして計約180本の大麻草を栽培する能力を備えていたという。
同課は大麻約8.75キロ(末端価格約5千万円)と大麻草59本などを押収。栽培の開始時期や販売経路を調べる。
逮捕容疑は10日午後0時15分ごろ、同府泉大津市板原町4の倉庫で、大麻を営利目的で所持した疑い。
押収された大麻には、幻覚作用を引き起こす成分を多く含む乾燥大麻の一種「バッズ」もあった。比較的高値で取引されるという。
昨年9月、匿名の通報があり発覚した。
(2012年2月14日 朝日新聞デジタル「旧紡績工場が大麻密造プラントに…容疑の男女逮捕 大阪」より)
(2012/2/13 日本経済新聞「水耕栽培の「大麻工場」を摘発 大阪府警、2人逮捕」より)