バルセロナで第12日があり、男子200メートル個人メドレー予選で萩野公介(東洋大)が1分57秒73の2位、瀬戸大也(JSS毛呂山)が1分59秒25の12位で準決勝に進んだ。同100メートル自由形予選は塩浦慎理(中大)が48秒52の4位で、この種目では日本勢初の準決勝進出を果たした。準決勝は48秒51の10位で決勝に進めなかった。女子50メートル背泳ぎは寺川綾(ミズノ)が28秒05の予選3位、準決勝は27秒70の2位で決勝進出。同200メートルバタフライ予選ではロンドン五輪銅の星奈津美(スウィン大教)が2分7秒59の3位で準決勝に進んだ。
第11日の30日は、女子100メートル背泳ぎで寺川が銅。男子100メートル背泳ぎでは入江陵介(イトマン東進)が4位、萩野は7位。同200メートル自由形は萩野が5位だった。
男子50メートル平泳ぎ準決勝で北島康介(日本コカ・コーラ)、同200メートルバタフライ準決勝では小堀勇気(セントラルスポーツ)と松田丈志(コスモス薬品)が敗退した。
男子200メートル自由形決勝 (1)ヤニック・アニエル(仏)1分44秒20(2)ドワイヤー(米)1分45秒32(3)イゾトフ(ロシア)1分45秒59(5)萩野公介(東洋大)1分45秒94
▽同100メートル背泳ぎ決勝 (1)マシュー・グレイバーズ(米)52秒93(2)プラマー(米)53秒12(3)ストラビウス(仏)53秒21(4)入江陵介(イトマン東進)53秒29(7)萩野53秒93
▽女子100メートル背泳ぎ決勝 (1)メリッサ・フランクリン(米)58秒42(2)シーボム(豪)59秒06(3)寺川綾(ミズノ)59秒23
▽同100メートル平泳ぎ決勝 (1)ルタ・ミルティテ(リトアニア)1分4秒42(2)エフィモワ(ロシア)1分5秒02(3)ハーディー(米)1分5秒52
3位でゴールした寺川は、隣のコースのシーボム(豪)と笑って抱擁した。「五輪と順位は変わらなかったね」
昨夏のロンドン五輪金メダリストで18歳のフランクリン(米)、銀メダルで21歳のシーボム、銅メダルで28歳の寺川。今大会の女子100メートル背泳ぎ決勝も3人の争いになった。
スタートの号砲に一番早く反応したのは、寺川だった。すぐにフランクリンがトップに立った。前半50メートルを28秒62でターンした後、引き離していく。前半3位のシーボムと6位の寺川はあきらめない。2人とも順位を上げてゴールした。
フランクリンは水泳王国・米国の若き大黒柱で、昨夏の五輪では背泳ぎとリレーの4種目で金メダルをつかんだ。「あの夏と同じ3人で泳げて楽しかった。金メダルは本当にうれしい」と言って、大声で笑った。レース後は、200メートル自由形準決勝に向かった。
ベストタイムは3人の中で最も早いシーボムはこの夏も2位に終わった。「厳しいレースだった。でも、私は幸せ。いい時間だった」。金メダルを狙っていた寺川も前を向く。「このメンバーで戦えて、表彰台に上がれて幸せ」。国も年齢も違う3人は競って、磨かれてきた。
レース前の招集所で誓い合っていた。「終わったら、笑って会おうね」。3人が台へ登り、また笑った。
決勝は逃したが、日本が苦手にしてきた男子100メートル自由形で準決勝へ進んだ塩浦は、身長188センチ、体重88キロ。体格は欧米の選手にも見劣りしない。初の世界選手権でも「落ち着いていけた」と余裕もあった。予選は、スタートから飛び出した。前半50メートルの23秒18は、予選7組の1位。後半も勢いは止まらず、狙っていた日本記録に0秒03差、自己ベストを0秒26更新する48秒52でゴールした。「泳ぎの感覚とタイムが一致している」と、好調ぶりを感じていた。
30日の男子200メートル自由形で自己記録を更新して5位に入った約1時間後、100メートル背泳ぎは7位。一晩で2種目の決勝を泳いだ萩野は「(背泳ぎの)タイムは悔いがあるけれど、やれることはやった。こういう経験ができて、自分でも成長できたかなと思う」と振り返った。2種目とも五輪金メダリストが勝った決勝レースで、18歳は堂々と勝負を挑んだ。
個人メドレーでロンドン五輪を経験しているとはいえ、世界選手権は初出場。自由形、背泳ぎの世界大会決勝も初めて。平井コーチは「緊張したり、戸惑ったり、すべてが経験になる。あのメンバーの中で、力をちゃんと出せたのはすごく評価できる」と話した。
31日午前の200メートル個人メドレー予選は全体の2位で夜の準決勝に進んだ。1972年ミュンヘン五輪で7個の金メダルを取ったスピッツ(米)、2008年北京五輪8冠のフェルプス(米)ら複数種目で勝利する「マルチスイマー」への道を、萩野が歩み始めた。