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土砂崩れや河川の氾濫による被害が相次ぐ 山口・島根豪雨ー通常は重なることのない「三つの条件」

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 記録的な豪雨に見舞われた山口、島根の両県では28日、土砂崩れや河川の氾濫による被害が相次ぎ、住民らを不安に陥れた。両県で観測史上最多の大雨が降った理由について、気象庁は通常は重なることのない「三つの条件」によるものとみている。



「ここです、ここです」。山口市阿東嘉年下(あとうかねしも)の木造2階建ての民家。午後3時半すぎ、救出作業をしていた陸上自衛隊山口駐屯地の隊員が、かすかな声に気付いた。裏山が崩れ、壊れた家に男性(88)が閉じこめられていた。

 隊員6人が素手で屋根の瓦や壁板をはがして屋内に入ると、薄暗い中で男性が手を振るのが見えた。男性は、屋根と壁の間にできた高さ約50センチの隙間に仰向けになっていた。

「けがはないですか?」と声をかけると男性はうなずき、「寒い、寒い」とかすれた声で言った。毛布でくるみ、約10分後に外へ運び出した。「家内は?」と尋ねる男性に、「先に見つかっていて無事ですよ」と伝えると、「ありがとう」と言って安心した表情になったという。

 山口県萩市高佐下(たかさしも)のうどん店経営上野繁さん(70)は午前8時半ごろ、近くの阿武川支流の蔵目喜(ぞうめき)川の土手が決壊したため、妻(68)とワゴン車に飛び乗り、逃げようとした。ところが県道13号を1キロほど走ったところで車が水没し、動かなくなった。

 車を降りて道路より高い位置にある橋に避難。119番や110番に電話をかけ続け、約30分後に保護された。上野さんは「横殴りの雨で救助を待つ間は寒かった。命があればええと思ったので、助かってよかった」と話した。

 島根県西部の津和野町。町中心部を流れる津和野川が濁流に変わり、町民体育館には100人以上の住民が次々に避難した。

「ブルーシートや切り株などがうねりながら流れていた。こんな流れ方は初めて」。椿久芳さん(59)は不安な表情を浮かべた。

 近くの「道の駅津和野温泉なごみの里」にも午前8時すぎから、住民が避難し始め、駐車場がマイカーでいっぱいになった。

 駅長の等農修さん(68)によると、正午すぎ、施設から75メートル程度しか離れていない川の水位が地面から1メートルに迫った。「川の上流では護岸ブロックが崩れ、建築作業小屋が流失したのが見えた」という。

 警報を上回る危険度を示す「特別警報」級の豪雨となったのは、三つの条件が重なったのが原因だ。



 まず、列島の南海上にある太平洋高気圧の縁を回って、湿った暖気が中国地方に入った。地表付近にこうした暖気が入る一方、偏西風の蛇行に伴って上空に冷たい寒気が流入。温度差で湿った暖気が急上昇し、背の高い積乱雲に。激しい雨につながった。

 ここまでは中国地方だけでなく、24日ごろから東北地方や関東地方でも同じ状態になっていた。だが、28日の中国地方ではさらにもう一つ条件が重なった。

 通常は、雨を降らせた後の上昇気流は上空にたまっていく。そのため、上がつかえて下から気流が上がりにくくなり、雨は弱まる。しかしこの日は、上がってきた大気を押し流す風が上空で吹いていたため、下からの上昇気流の勢いが弱まらなかった。

 気象庁の担当者は「三つも条件が重なるのは異例」と話す。山口県萩市で記録された1時間降水量138・5ミリは、日本海側の全観測点で統計史上2番目の値だという。



















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