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滝川クリステル いま、一番気になる仕事ー作家 ジョン・キム

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滝川 教授とゼミ生の関係って、上司と部下に通じるものがあるように思います。ゲーテ読者のなかには最近の新人とどう接していいか気になっている人もいると思うのですが、キムさんから見て今時の学生はどのようなイメージですか?

キム 今の学生は、大人が思っている以上に自分の人生に対して真剣ですよ。ただ、すぐには真剣にはならないんです。相手が本当に聞く耳を持っているとわかるまでは斜に構える。恥ずかしいし、自分の未熟さをわかっているから、虚勢を張るんです。でも愛情や包容力のある相手だとわかれば、こちらが思う以上に心を開いてくれます。僕はここ10年の学生しか見ていないけれど、自分自身が学生の時もそうでした。滝川さんはどんな学生でしたか?

滝川 私はたぶん今と変わっていないです(笑)。いつも一番前の席に座っていたから、先生とも仲のいい学生だったかな。でも小中学校くらいならまだしも、大学で、キムさんみたいに真剣に対峙してくれる先生ってそういないのではないですか?

キム 僕は何をするにしても、すべての瞬間において悔いのないよう生き尽くしたいと思ってやってきました。学生と真剣に向き合うことも、自分自身がそこに一番やりがいを感じるからなんですよ。

滝川 最新刊『時間に支配されない人生』を読んでとても印象的だったのが「聞く」ことについてのくだりです。聞くということは、相手が表現しきれない部分まで理解するということなんですよね。実際には難しいけれど、私もインタビューをする者として、肝に銘じました。

キム 学生との面談でもそうですが、何か相談がある時は、本人も混乱していて問題を整理できていない場合が多い。共感するだけでなく、時にはその人になりきるくらいの一体感を意識して対話するように心がけています。そのうちに、相手も気持ちの整理ができますから。

滝川 相手以上に、相手の立場になって感じようとする姿勢が大切なんですね。キムさんの面談では、感極まって泣きだしてしまう学生さんもいらっしゃったとか。実際には、学生の悩みにどう寄り添うんですか?

キム その人の状況に合わせて、必要とあれば死生観まで含めた対話もしました。でも多くのケースではまず、問題自体が悩みに値するものなのかどうかを検証します。大体は問題の設定自体を間違えているんですよ。例えば、不可抗力なものを変えようとしていたり。その場合は問題を内面化するようにアドバイスします。自分が掌握できる問題設定に変えるわけです。

滝川 学生の反応は?

キム ちゃんと話せば皆わかってくれます。ただし、ものの見方を変えたり、言葉の定義を見直したりする必要はありますね。自分が発する言葉を漠然と使うのではなく、自身のフィルターを通し捉え直してから使うこと。すべてを鵜呑みにしないことの重要性は講義で必ず伝えました。

滝川 言葉を「語る」際には、無駄をそぎ落とし、希少性を高めるようにされてるとか。

キム もともと経済学をやっていたので、希少性の価値は意識しています。例えば学内での会議の際は、途中で適当な相槌を打ったりはせず、最後に大局的な観点から本質を突いた発言をするよう心がけています。ちょっと嫌な奴だと思われるかもしれない。でも本当に責任を持たなければならないトップからは、一目置いてもらえます。

滝川 では、普段はあまり多くを語られないんですか?

キム 状況によりますね。ワイフを口説く時は、ものすごく饒舌でしたよ(笑)。ほかにも意識しているのは、他人が語れる言葉は発しないようにすることです。言葉だけでなく、行動すべてにおいて、自分の存在意義を意識するようにしています。20代まではとても自信がなかったこともあって、生に対する緊張感が非常に強かったです。常に自分が成長するために最善を尽くしている感覚がなければならないと焦っていました。ある意味、時間に支配されていましたね。でもそういう時期も必要だったのだと今は思います。

滝川 それが今は、少しずつ変わってきている、と。

キム 何かをして自信がついたというわけではないんです。ただある時から、「自分の現在の実力」だけでなく、「自分が成長するかもしれない可能性」も、「自信」を構成する要素だと考えるようになりました。未来があるということは、それだけで自信の根拠になります。このことは実績を持たない学生たちにもよく話しています。

滝川 「自信」という概念の捉え方が変わったんですね。

キム それと、これは最近の話ですが、昨年末に病気をして以降、もう一つの命をもらったと考えるようにもなりました。今まで以上に、自分が大切だと思うことだけに集中して日々を過ごすようになっています。とはいえ、20代までのようなヒリヒリした緊張感はありません。社会全体のことがある程度見えてきて、自身の適応能力を信用できるところがあるので、ある意味、冷静で穏やかな気持ちです。

滝川 5月からは、パリへ移住されるのですよね。

キム はい。ワイフと二人でまずパリへ行き、飽きるまで住んだら、バルセロナへ行こうと、漠然としたイメージでいます。

滝川 なぜパリなんですか?

キム 一度っきりの人生、パリに住まずに死ねるか、という思いがあったんでしょうね。ある種の憧れかも知れません。ただ、憧れを日常にすることで退屈に変えてやる、というちょっと意地っ張りな考えもあったり(笑)。飽きたら次なる非日常を求めて旅に出ると思います。ビジネスも今までとは違うことをしたいですね。脚本や作詞にもチャレンジしたい。ファッションやワインにも興味があります。真っ白なキャンバスに絵を描き始めるような感覚です。

滝川 本当に自由ですね。過去の自分にこだわらない生き方。

キム ノマドワークや留学をしたいという相談もよく受けますね。相談したり本を読んだりして参考にするのはいいけれど、学生には重要なのは自分で決めることだといつも答えています。決めた以上は、その選択を自分で正解にしていくために最善を尽くす。選択がもたらす結果への全責任を負うという決意で。

滝川 実は私も、大学を卒業する時、パリの大学に行こうと考えていたんです。いろいろあって日本で就職したんですが、自分で精一杯つくりあげてきた歴史ですから、この選択でよかったと思っています。

キム 選択して失敗してもいいと思うんですよ。その結果を受け止めて次なる自分の成長につなげていくことができれば。痛い目にあって学ぶこともあります。でも実際は、家族・親戚や世間の目を気にしたり、誰かのせいにしたりする人がとても多い。50代、60代まで引きずってしまうケースもあります。それでは失敗しても成長できません。

滝川 シンプルな質問なんですけれど、キムさんはなぜ、常に成長したいと思うのですか?

キム 成長は人間の特権だと思うから。僕が成長という時は必ず内面の成長を指しています。それはそのまま自分の幸福感や充足感に通じます。誰かとすごく通じ合えたとか、愛せたとかね。永遠に生きるのであれば、成長なんていらないかもしれない。でも命は有限だからこそ、最後の瞬間まで成長を続けていくことが自分の中のテーマです。

滝川 最近、キムさんがおっしゃるような内面の成長ではなく、経済的な意味で成長という言葉がよく使われていますよね。震災以降、日本全体がやっと内面的な成長へ目を向けるようになっていたのに、また逆戻りしてしまう気がして、少し危うさを感じてもいるんです。

キム 難しい問題ですね。でも今の学生たちは、けっこう冷静に見ていると思いますよ。いずれにしても、めまぐるしい変化のなかで自分を貫くこと、大切なものを見失わないことが重要。そのためには、常に自身の内面と向き合うことが求められます。

滝川 ありがとうございました。次にお会いする時に、どう進化されているのか、楽しみです。

キム 体験したものだけが自分の世界になると思っています。自分という帝国を拡張していくように、70歳、80歳になっても旅をしていきたいですね。



 19歳で母国・韓国を離れ、常にアウェイで挑戦を続ける著者が語る、1分1秒を自分の大切なことだけに費やすための生き方。ベストセラー『媚びない人生』に続く、待望の新刊。発売後たちまち増刷、3万部突破。
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