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オバマ流「巻き込み話法のwe」を使おう

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 会社のプレゼンで、自分が前回提案した企画がうまく通った時など、あなたはついこう言っていないでしょうか? 「前回提案した私のプロジェクトも成功しました」「今回、私は○○を提案いたします」。何かにつけてうまくいくと「私が」と主張し、新しい提案にも「私は」と言いたいのが、私たちの常です。

 しかし、これはパフォーマンス学から採点すれば、まるでダメです。なぜでしょうか?

「自己主張」としては正しくても、そこには、より多くの人を自分のほうに“巻き込む”力が欠けているためです。

 人は皆、相手が話していることが自分に関係していると感じた時に、その人の話に引き込まれます。パフォーマンス学では、これを「関与(コミットメント)」と呼びます。この話に自分も関与している(コミットしている)と思うと、なんだか関心が湧き、それがいい話だと余計にやる気も出てきて、嬉しくなるわけです。

 これを、演説名人のオバマ氏はしっかりと活用しました。例えば、彼の19分20秒(1160秒間)の演説の中で、「we」(私たち)を使って、「私たちはこれをしよう、あれをしよう」と呼びかけたのは62回です。

「We(私たちは)」の使用62回、「our(私たちの)」の使用68回、「us(私たちを/に)」の使用23回、「ourselves(私たち自身)」の使用3回。要するに、自分がああだこうだと単独の「I」(私)を主語にして意見を言わず、私たちが何をして(we)、私たちの未来がどうなり(our)、私たちをどう変えていくのか(us)。彼は常に自分一人ではなく、「we」(私たち)を主語にしているのです。これで聴衆はまず、当事者意識を持ちます。「自分もこの大きな計画の一員だ」と思うからです。

 それに比べて日本の政治家を見てみると、すでに退任した某首相の就任演説では、「私」という言葉は26回現れましたが、「私たち」は0回でした。「私が日本をどうする」「私はこう思う」、これだけ自分中心だと、聞いているほうはシラけます。

「あなたも首相ならば、せめて私たち日本人の未来がどうなるとか、私たちをどのような方向に導くとか言ってほしい。すべて『オレオレ』ではなく、時には『我々』と言いなさいよ」と反感を持ちました。それもあってか、この内閣は短命でしたが、聞き手を自分のほうに巻き込む「私たち」という言い方は、「巻き込み話法のwe」とパフォーマンス学で呼ぶものです。

 この話法は、ビジネスシーンでの会話でもアフター5の飲み会でも、充分に活用できます。「巻き込み話法のwe」をどんどん使って、仲間を増やしていきましょう。

日本大学芸術学部教授・佐藤綾子
<参院選・特別コラム『選挙・演説に学ぶ、仕事で使えるパフォーマンス学のコツ』第6回>



















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