東京・新宿で16日、在日韓国人らを非難するデモの参加グループとこれに対立するグループの間で乱闘騒ぎがあり、警視庁新宿署は双方のグループの男女計8人を暴行容疑で現行犯逮捕した。
逮捕されたのは、デモに参加した「在日特権を許さない市民の会」(在特会)会長で自称自営業、高田誠容疑者(41)ら4人と、対立グループ側の自称会社経営、清義明容疑者(46)ら4人。
8人の逮捕容疑は16日午後、互いのグループのメンバーを殴ったり、相手に唾を吐きかけたりした疑い。同署によると、高田容疑者は「つばをかけようと思ったわけではない」、清容疑者は「相手がつばをかけなければ暴行しなかった」と話している。
新宿周辺では、在特会などがデモを繰り返し実施し、対立グループとの罵声の応酬などが深刻化していた。
※在日特権を許さない市民の会(日本の市民団体、略称は在特会)
2006年(平成18年)12月2日の準備会合で会の設立を決定し、翌年の2007年(平成19年)1月20日の発足集会以後に正式な活動を開始した。会長はネット右翼の桜井誠。
日本国内に居住する在日韓国・朝鮮人が特別永住資格や様々な経済的便宜などの特権(在日特権)を不当に得ているなどと非難し、その撤廃を目標に街宣・デモ・集会等の活動を展開している。また在日韓国・朝鮮人以外の外国人に関する政策を始め、歴史認識問題、日本の核武装論の是非など多種多様なテーマについて保守的・右派的スローガンを掲げ、各地で「反日的」とみなした個人や団体への街宣・デモ・集会などを積極的に開催している。
単に制度的な「在日特権」を非難するだけに留まらず、しばしば在日韓国・朝鮮人そのものの排斥まで主張することから、日本の公安調査庁を始めとする国内外の公的機関やマスコミなどによって排外主義団体などとみなされ、批判・警戒されることも少なくない。公安調査庁は平成24年度版『内外情勢の回顧と展望』のコラムにおいて「在日韓国・朝鮮人の追放など排外的な主張を掲げ、活動状況をインターネットの動画サイトに配信して不特定多数の参加者を集める手法を用いながら、街頭行動を中心とする活動を行う右派系グループ」として取り上げた。また、ジャーナリストの安田浩一は「彼らは右翼でも保守でも民族派でもない。レイシストだ」と評している。
※人種差別(racial discrimination)、人種主義(racism、レイシズム、人種差別主義)