茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の加速器実験施設「J―PARC」の放射性物質漏れ事故で、事故当初、実験装置の異常を検知して安全装置が働き、警報音が鳴ったにもかかわらず、担当者が警報をリセットして実験を続けていたことが25日分かった。
新たに23歳と45歳の男性2人の被曝が確認され、事故当時、施設に出入りしていた55人のうち被曝したのは6人となった。ほかに24人が被曝した可能性があり、機構が精密測定を進めている。14人は被曝していないと判明、11人はまだ検査を受けていない。
茨城県は25日、原因や経緯を確認するため施設内を立ち入り調査した。調査には東海村、水戸市など周辺市町の職員も参加。県担当者は「外部への漏洩は非常に重大。放射性物質を扱う施設として、漏洩を防げる構造になっていない」と指摘した。
実験をしていた高エネルギー加速器研究機構によると、23日午前11時55分、J―PARC内の原子核素粒子実験設備で金に陽子ビームを当てて素粒子を発生させる実験中、異常を検知して安全装置が作動、警報音が鳴ったため、いったん実験装置を停止した。
担当者は安全装置作動の原因が分からないまま午後0時8分に警報をリセットし、実験を再開した。その後、施設内で放射線量が上昇し再び運転を停止。午後3時15分ごろ、排気ファンを作動させて施設内の線量が下がったため、また運転を再開していた。
高エネ研の担当者は「マニュアルに従った手順だった」と話している。