韓国の大手紙・中央日報が、1945年8月の広島・長崎への原爆投下について「神の懲罰」などと表現したコラムを掲載、ソウルの日本大使館が抗議した。
コラムが掲載されたのは20日付で、筆者は同紙政治担当の論説委員。コラムは冒頭、「神は人間の手を借りて人間の悪行を処罰もする。もっとも厳酷な刑罰が大規模空襲だ」として第2次大戦時のドイツ・ドレスデンへの空襲と、広島・長崎への原爆投下を挙げ、「これらは神の懲罰であり、人間の復讐だった」と表現。
さらに「ドレスデンはナチに虐殺されたユダヤ人の復讐だった。広島・長崎は日本の軍国主義の犠牲になったアジア人の復讐だった。特に、731部隊の生体実験に動員されたマルタの復讐だった」としている。
旧日本軍の731部隊は戦時中に細菌兵器研究をしたとされ、実験に使った捕虜らを「マルタ」と呼んでいた、との説もある。韓国では安倍晋三首相が今月、航空自衛隊松島基地を視察した際に「731」の番号がついた練習機に乗ったことが問題視され、外交省報道官も「日本側は省察を」と批判していた。
コラムは「ドイツの大統領と首相は機会があるごとに謝罪するが、日本は違う。指導者たちは日本の侵略の歴史を否定する妄言でアジアの傷をほじくる」とし、「安倍は笑いながら731の数字が刻まれた訓練機に乗った」と批判した。
これに対し、日本大使館は21日、「原爆投下に関わる表現など記事は適切ではない」と抗議した。
戦時中の広島、長崎には朝鮮半島出身者も大勢おり、在韓被爆者は今も2千人を超える。だが、韓国では「原爆投下は日本の侵略戦争が招いた結果だ」とする見方も根強い。
菅義偉官房長官は23日の記者会見で、韓国紙の中央日報が広島・長崎への原爆投下を「神の懲罰」とするコラムを掲載したことについて、「我が国は唯一の被爆国であり、こうした認識は断じて容認できない」と指摘。「両国民が冷静に対応していくことも重要だ。(相手側には)我が国の主張を理解してもらっていると思う」と述べた。
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ユダヤ人はナチに虐殺された。この場合、ユダヤ人は「神との契約違反」を考える。神との契約違反があったから、神がナチに頼み、懲罰を加えたのではないかとする。これがユダヤ人の「義」という概念であり、彼らはその「義」を解決するまで追求していこうとする。
神との契約違反があれば、他国を使って、誅伐を加える。それができるのは、彼らの神が「民族の神」という概念を超えた存在だからである。では、日本の神はどうだろう。日本では原爆投下を神の懲罰だとは受取っていない。誰も「日本人は神との契約違反をしたのだから、アマテラスがアメリカに頼んで、原爆投下を行った」などとは思っていない。そうした発想が全くないのは、日本人の神は「民族の神」を超えていないからである。
第一、日本には上下契約がない。契約は大きく分けると、上下契約・対等契約・履行契約・保護契約の4種類あるが、日本には上下契約はない。上下契約とは神との契約である。契約がないのだから、それへの違反もあり得ない。ところが、韓国の中央日報の政治担当の論説委員が「日本人は神との解約に違反した」とコラムに記したそうだ。何を根拠に「日本人は神との契約があった」としているのだろか?
このコラムにソウルの日本大使館が抗議し、また、菅義偉官房長官は「我が国は唯一の被爆国であり、こうした認識は断じて容認できない」としている。まったくピントがずれた対応だ。