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木村沙織が下した主将就任という決断ー真鍋監督の必死の説得で引退撤回

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 ロンドン五輪で銅メダルを獲得したバレーボール女子日本代表が13日、新体制会見を行った。候補44人中23人が初選出と、世代交代が進むチームの新主将には、木村沙織(26)=トルコ・ワクフバンク=が就任。今季限りでの引退を考えていたエースだったが、真鍋監督の熱い説得により、翻意。2016年リオデジャネイロ五輪での金メダルに向けて、チームをけん引する覚悟を決めた。

2013全日本女子チーム│日本バレーボール協会

 いつものほんわかとした雰囲気を残しながら、木村は「リオで金を獲るために頑張りたい。新しい“火の鳥ニッポン”を見てもらいたい」と笑顔で所信表明した。

 当初は今季限りの引退を決意。1月に真鍋監督が主将就任の打診にトルコを訪れたが「辞めますと言いました。十分頑張ったし、カフェをやりたいと思ってた」と一度は拒否。しかし、帰国後も「お前しかいない」とメールを送ってくる監督の熱意に負け、現役続行と主将就任を決めた。

 歴代主将のような“闘将”キャラではないが、「私がなった以上、こうじゃないといけないというのはない。期待もされてないだろうし」と笑った木村。あくまで自然体で、チームを引っ張っていく。


 リオデジャネイロ五輪に向けて、全日本女子バレーボールチームが始動した。ロンドン五輪では悲願であったメダルを獲得し、4年後の目標はただ1つ。真鍋政義監督は「世界一を目指す」と明言した。

 2013年度の登録メンバーが44名と大所帯のチームで、キャプテンに任命されたのが、木村沙織だ。「自分が一番ビックリしました。絶対無理、無理です、私にやらせたら大変なことになります。と何度も断りました」
 
 真鍋が木村にキャプテンを打診したのは、今年の1月。ヨーロッパチャンピオンズリーグの解説でトルコを訪れた際、トルコリーグのワクフバンクでプレーする木村と再会した。実はその時、木村は引退を決意していた。

「東レ(アローズ)でもタイトルが取れたし、五輪でメダルも取れた。あと、やり残したことと言えば海外でプレーすることぐらいだったけど、それも今回達成できた。もういいや、もう十分だなと思って。今年1年、全日本で活動したら、もうバレーを辞めようと決めていました」

 トルコリーグでプレーする選手の話、そして海外での経験。真鍋との会話に華が咲く中、突然、木村が切り出した。「真鍋さん、私、バレーを辞めるので、11月のグラチャン(ワールドグランドチャンピオンズカップ)を私の引退試合にして下さい」

 目を丸くして、真鍋が驚く。でもその後で発したひと言に、今度は木村が目を丸くした。「次のチームのキャプテンをお前に任せようと思ってるのに、辞めるって何や。ありえんやろ」

 キャプテン? 私が? 理由も聞かず「無理無理」と断った。自分の代わりに「この人もいるし、あの人のほうが向いている」と何人も名前を出して、真鍋を納得させようとした。

 それでも、指揮官は引かなかった。「お前しか、おらんやろう」

 懸命に説得したが、簡単には首を縦に振らない。自分が決めたことを頑なに貫くのが、木村の性格であることを、真鍋も熟知している。それでも譲らない理由があった。

「日本の主将は誰でもできるわけではありません。竹下(佳江/元JTマーヴェラス)、荒木(絵里香/東レ)の後を継承できるのは、五輪を3回、世界選手権を3回経験している木村しかいません」
 
 絶対に無理。自分はキャプテンなんて任されるような器じゃない。何度考えても、キャプテンを受けるという結論には至らない。だがその一方で、少しずつ気持ちに変化が生まれていることにも気づいた。

「もしも自分がこれからのチームを作るとしたら、どんなチームになるかなと考えるようになりました。まだ誰が選ばれるかも全然分からないけど、でも、自分の今の経験を伝えたいとか、もっとみんな海外でやったらいいのにとか、今までとは違う感覚で、先のことを考えるようになっていました」

 3月、キャプテンを受けると決めた。当然、引退も撤回した。「今までは、1年1年で目標やプランを決めてきたけど、今回は違う。初めて五輪までを1つのサイクルとして考えられるようになりました」

 トルコカップ、チャンピオンズリーグ、トルコリーグを無敗で制し、圧倒的な力で3冠を獲得したワクフバンクで、木村の出番は限られていた。日本にいる時ならば、不動のものだったポジションが、トルコにはない。これまではほとんど経験のなかったリザーブに回り、チャンピオンズリーグの決勝でも、試合の終盤でピンチサーバーとしてコートに入り、そのまま守備固めをするのが木村の役割だった。

 エースとしての木村を知る日本のメディアやファンからすれば、たとえこれが初めての海外挑戦とはいえ、もっと最初から第一線での活躍を望むというのが多数であり、ワクフバンクでの現状に物足りなさを抱いた人もきっと少なくはないはずだ。だが、試合に出る、出ないという立場以上に、世界のトップが集う環境は、これまでの価値観を変えると言っても大げさではないほど、木村に大きな刺激を与えた。

「海外にいると、ナショナルチームの選手の動向を自然に知ることができます。今まで知らなかった選手もいっぱいいたし、中心と言われている選手よりも、もっともっとすごい選手がたくさんいました。これからは韓国も中国もタイも、ナショナルチームのほとんどが海外に出てくる。このままじゃ、日本だけ置いていかれてしまうような気がして、すごく焦っています」

 4年前のチーム発足時、真鍋は「世界を知る」ことを目標とした。それから4年が過ぎ、今度は「世界一を知る」ことが目標に変わった。

 一歩踏み出したからこそ、見えたもの、感じたこと。そのすべてを伝え、チームに還元することが、自身に与えられた役割だと自認している大黒柱が、その「世界一」を目指すチームのキャプテンを務める。確かに、その役を担えるのは木村しかいない。
























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