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ES細胞で失明状態の患者2人の視力改善 米チームが発表

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 人体のあらゆる組織に成長する能力を持つ胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使って、失明状態と認定された患者2人の治療に成功したとの成果を、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校ジュールズ・スタイン眼研究所の研究者らがこのほど発表した。2人とも視力が劇的に改善したという。

 同研究所のスティーブン・シュワーツ博士らが、英医学誌ランセットに報告した。ES細胞を使った治療例が正式に報告されたのは初めてとされる。


スティーブン・シュワーツ博士
 暫定的な結果であり、失明の治療法が見つかったとはいえないが、再生医療における大きな前進だ。


 2例ともそれぞれ、ES細胞を患者の網膜組織に注入した。術後は拒絶反応を抑える薬を短期間投与した。

 患者の1人、スー・フリーマンさん(78)は昨年7月に手術を受けた。難病の黄斑変性症で視力が極度に低下し、1人では歩行も買い物、料理も不可能だったが、一方の目を治療した結果、すべてできるようになったという。「自分が書いた字を読むこともできるようになった」と、喜びを語る。
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 2人目の女性(51)は手術から2〜3週間たった朝、目覚めた時に寝室のたんすの細かい彫刻に気付き、視力の改善を実感したという。以前は見えなかったこんろのつまみが見えるようになり、目の前に示された指の数も分かるようになった。

 シュワーツ博士は、フリーマンさんらの視力が再び低下する可能性もあるとする一方、今後全米10カ所で患者12人の治療を試みるとの計画を示した。

 チームが使用したES細胞は、不妊治療で不要となり、捨てられることが決まった受精卵から採取したという。

 ES細胞を使った再生医療では、米バイオ企業ジェロンが2009年、民間企業として初めて食品医薬品局(FDA)から臨床試験の承認を得たものの、11年に財政難を理由に撤退している。

(2012.01.24 CNN.co.jp「ES細胞で失明状態の患者2人の視力改善 米チームが発表」より)


★胚性幹細胞(Embryonic stem cells)とは、動物の発生初期段階である胚盤胞期の胚の一部に属する内部細胞塊より作られる幹細胞細胞株のこと。英語の頭文字を取り、ES細胞(イーエスさいぼう)と呼ばれる。

 生体外にて、理論上すべての組織に分化する分化多能性を保ちつつ、ほぼ無限に増殖させる事ができるため、再生医療への応用に注目されている。またマウスなどの動物由来のES細胞は、体外培養後、胚に戻し、発生させることで、生殖細胞を含む個体中の様々な組織に分化することができる。また、その高い増殖能から遺伝子に様々な操作を加えることが可能である。このことを利用して、相同組換えにより個体レベルで特定遺伝子を意図的に破壊したり(ノックアウトマウス)、マーカー遺伝子を自在に導入したりすることができるので、基礎医学研究では既に広く利用されている。




























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