政府は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設に伴う県知事への公有水面埋め立て申請を首相訪米後の3月にも行う方向で検討している。安倍晋三首相は22日に米ワシントンで開かれるオバマ大統領との首脳会談で、日米合意に基づき普天間飛行場の県内移設に向けた決意を伝える。20日、政府関係者が明らかにした。
米側に安倍政権が普天間飛行場の移設を着実に進めているとの姿勢を示すのが狙い。政府は早期申請を目指す構えだ。
防衛省は、環境影響評価(アセスメント)書の公告・縦覧を1月29日に終了し、アセスメントの手続きは終えており、埋め立て申請の時期が焦点となっている。埋め立て申請をしても、移設先の名護市長をはじめ、県議会、県内全市町村長が県内移設に反対する中、仲井真弘多知事が許可する見込みは立っていない。
政府内には「3月中に埋め立て申請すべきだ」との意見をはじめ、「来年の名護市長選で移設推進派市長の誕生を待った方がいい」などの意見もある。具体的な時期については、首相の帰国後に菅義偉官房長官や小野寺五典防衛相、岸田文雄外相ら関係閣僚が協議して詰める。
首相は20日の参院予算委員会で、「現時点では具体的な時期は決めていない」と述べ、申請時期は決まっていないと強調した。日米首脳会談で言及することについては「予定はしていない」と述べた。
首相は就任後初めて沖縄県を訪問した今月2日、訪米前に申請しないと表明していた。
沖縄県の仲井真弘多知事は21日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向け政府が行う公有水面埋め立て申請について「法にのっとって出てきたものを頭からノーとかイエスとか言うべきではない。事前にいちいちチェックする性格のものでもない」と述べ、申請時期に関する政府の判断に異議は唱えないとの認識を示した。首相官邸で記者団に語った。
政府は3月にも申請する方針。仲井真氏は菅義偉官房長官と官邸で会談したが、埋め立て申請を巡る議論は「まったくしていない」と否定した。
会談では仲井真氏が政府の13年度当初予算案に沖縄振興で約3000億円が盛り込まれたことに謝意を表明。政府と沖縄県が基地負担軽減や振興策を話し合う「沖縄政策協議会」を安倍内閣でも継続するよう要望し、菅氏も応じる考えを示した。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設促進を求める市民大会が21日、名護市内で開かれた。参加した約千人(主催者発表)の市民らは「危険な普天間飛行場を固定化させず、一日も早く移してもらいたい」と訴えた。
沖縄本島北部地域の企業などで構成する「北部地域振興協議会」が主催した。2010年の市長選で落選した島袋吉和前市長は、激励のあいさつで「辺野古移設がないと地域経済は成り立たない。北朝鮮、中国の脅威からも基地機能を低下させてはいけない」と強調した。
さらに、普天間飛行場の辺野古への早期移設実現を日本政府に強く求める決議が採択された。