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刑罰科して責任自覚、無免許に酌量余地なし、処罰感情は当然…判決要旨‐遺族は上限下回る量刑に失望、怒り

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 京都府亀岡市で平成24年4月、集団登校中の小学生ら10人が無免許運転の車にはねられ死傷した事故で、無職少年(19)に懲役5年以上8年以下の不定期刑を言い渡した。京都地裁判決の要旨は次の通り。

亀岡市登校中児童ら交通事故死事件

【少年である被告に対する処分について】

 少年である被告を保護不能と断じることはできないが、被害の重大性などを考慮検討すると、保護処分よりも刑罰を科すことにより責任を明確に自覚させ、それを踏まえて更生を図らせることが社会正義に合致しているというべきだ。京都家裁への移送が相当とする弁護人の主張は、採用できない。

【道交法違反(無免許運転)について】

 3件の無免許運転は、常習的に行われていた無免許運転の一環としての行為である。被告は、いずれの無免許についても罪悪感など微塵もなく運転行為におよんでおり、経緯や動機に酌量の余地は全くない。

 被告は23年1月、道交法違反(共同危険行為、無免許運転)で京都家庭裁判所から保護観察処分を受けたのに、同じ無免許運転を繰り返し、今回の犯行に至っている。更生への機会を十分に生かさなかったのは被告自身の責任というべきである。

【自動車運転過失致死傷について】

 被告は、友人らと連日夜通しで遊び回っており、24年4月21日朝から同23日朝に発生した今回の事故までの間、仮眠時間は合計でわずか5時間20分程度にすぎず、遊び疲れと睡眠不足により居眠り運転に陥ったもので、その経緯に酌むべき事情はまったくない。いきなり背後から衝突された被害者らが事故を避けうるはずもなく、落ち度は全くない。事故は被告の一方的な過失によるものというほかなく、過失の内容・程度は極めて悪い。

 未来への大きな夢にあふれていた2人の小学生と、まだ若く希望に満ちあふれていた女性の命を奪ったという点だけでも、あまりに重大な結果を招いている。

 松村幸姫さんは、子供たちを引率中に娘とともにはね飛ばされ、26歳で一生を終えた。小谷真緒さんは両肺挫傷により7歳で短い生涯を終えた。横山奈緒さんは意識を回復しないまま8歳の若い命を終わらせた。また、負傷した7人全員も命を失う危険があった。母親を、妹を、あるいは大切な友人たちを失ったことで心にも大きな傷を負い、将来への影響も計り知れない。遺族らが、いずれも被告に対する峻烈な処罰感情を示しているのも、重大な結果に照らせば、至極当然というほかない。

 さらに、事故が悲惨かつ衝撃的であり、地獄絵のような光景を呈した現場の住宅街はもとより全国的にも大きな不安や衝撃を与えたことに鑑みれば、社会的影響は大きい。

【検討】

 以上によれば、犯情は極めて悪く、被告の刑事責任は重いといわなければならず、遺族らがいずれも峻烈な処罰感情を示し、法律上可能な限り重い刑罰を求めることは十分理解できる。他方、被告はいずれの罪も認め、取り返しのつかない事故を起こしてしまったことを反省・後悔し、亡くなった被害者の冥福を祈り、遺族や負傷した被害者らに謝罪の態度を示すなど、酌むべき事情もある。

 そこで、不定期刑の上限について検討するに、検察官は、自動車運転過失致死傷の罪と3件の道路交通法違反の罪とを併合罪加重した刑期の上限である懲役10年を求刑している。

 確かに、何の落ち度もない3人の命を奪い、7人を負傷させた結果は重大であり、過失の内容・程度も悪い上、居眠り運転の原因が連日の遊興による疲労や睡眠不足にあったことに照らすと、処断刑の上限をもって臨むことも十分に考えられる。

 しかし、被告は、これまでの生活態度や事故で取り返しのつかない結果を招いたことを反省・後悔している。事故以前の2件の無免許運転は、交通法規無視の態度が事故を招いたという意味では無関係とはいえないものの、居眠り運転との因果関係はまったくないし、そもそも事故の前に犯された別個の無免許運転である。そして、被告は無免許運転の事実について素直に供述している。

 このような事情を総合的に検討すると、被告に対して求刑通り処断刑の上限をもって不定期刑の上限とすることは事故の重大性を十分考慮してもなお躊躇せざるを得ず、懲役8年をもって上限とするのが相当であると判断した。


 遺族らの思いは結局、届かなかった。京都府亀岡市の10人死傷事故で京都地裁が19日、懲役5年以上8年以下の不定期刑を言い渡した無職少年(19)は、被害者参加した遺族らと目を合わすこともなく、法廷を去った。「まったく納得できない」「検察は控訴してほしい」。遺族らは、法定刑の上限を2年下回った判決に、失望や怒りを隠さなかった。

 少年はこの日、紺色スーツに白色ワイシャツ、少し髪の伸びた丸刈り姿で入廷。弁論が再開されたため言い渡しに先立って再度、意見陳述の機会が与えられたが、「前回と同じです」と述べるにとどまり、謝罪の言葉はなかった。

 約1時間に及んだ判決理由の朗読を、伏し目がちで口を真一文字に結んで聞き入った少年。市川太志裁判長が「あなたはまだ若い。まじめに服役し、重大な結果を忘れず冥福を祈りながら、生涯をかけて慰謝に努めてください」と説諭した際も表情を変えなかった。

 閉廷後、京都市内で記者会見した遺族と負傷者家族からは「反省の色が見られない」と少年への怒りの声が上がり、犠牲になった小谷真緒さん=当時(7)=の父、真樹さんは「最後の機会に少年が『前回と同じ』と言うとは思わなかった。この判決に僕が求めるものはなかった」と切り捨てた。

「なぜ法定刑の上限が科されないのか」「減軽された2年の意味は何なのか」。遺族と負傷者家族は、少年が反省していることなどを理由とした減軽を批判した。

 亡くなった横山奈緒さん=当時(8)の父、博史さん(38)は「危険運転致死傷罪での起訴だけでなく、10年以下の最高刑を与えることすらかなわなかった。『法律って何の』というのが率直な意見」。

 妊娠7カ月で亡くなった松村幸姫さん=当時(26)=の父、中江美則さん(49)は「『過失で当然』といわれ続けた結果が懲役8年以下。裁判長には少年でなく、僕ら被害者に対するメッセージがほしかった」と憤り、「加害者と違い、被害者には控訴を決められない。検事さんの判断に任せるしかないが、控訴して当然だ」と話した。


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「なぜ法定刑の上限が科されないのか」「減軽された2年の意味は何なのか」。遺族と負傷者家族は、少年が反省していることなどを理由とした減軽を批判した。批判された判決内容は次の通り。

『被告は、これまでの生活態度や事故で取り返しのつかない結果を招いたことを反省・後悔している。事故以前の2件の無免許運転は、交通法規無視の態度が事故を招いたという意味では無関係とはいえないものの、居眠り運転との因果関係はまったくないし、そもそも事故の前に犯された別個の無免許運転である。そして、被告は無免許運転の事実について素直に供述している。このような事情を総合的に検討すると、被告に対して求刑通り処断刑の上限をもって不定期刑の上限とすることは事故の重大性を十分考慮してもなお躊躇せざるを得ず、懲役8年をもって上限とするのが相当であると判断した。』


 妊娠7カ月で亡くなった松村幸姫さん=当時(26)=の父、中江美則さん(49)は「『過失で当然』といわれ続けた結果が懲役8年以下。裁判長には少年でなく、僕ら被害者に対するメッセージがほしかった」と憤り、「加害者と違い、被害者には控訴を決められない。検事さんの判断に任せるしかないが、控訴して当然だ」と話した。検察の判断への検討は次の通り。

『不定期刑の上限について検討するに、検察官は、自動車運転過失致死傷の罪と3件の道路交通法違反の罪とを併合罪加重した刑期の上限である懲役10年を求刑している確かに、何の落ち度もない3人の命を奪い、7人を負傷させた結果は重大であり、過失の内容・程度も悪い上、居眠り運転の原因が連日の遊興による疲労や睡眠不足にあったことに照らすと、処断刑の上限をもって臨むことも十分に考えられる。』

























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