大分県九重町で17日に起きた観光バス事故で、バスを所有する城北交通(熊本県山鹿市)は、九州運輸局から道路運送法に基づく行政処分を過去に2回受けていや。
同運輸局によると、貸し切りバス事業者を対象にした重点監査で、同社八女営業所(福岡県広川町)の乗務員名簿に不備があったなどとして、2009年1月、貸し切りバス2台を計35日間の運行停止処分とした。
北九州営業所(北九州市)でも乗務記録の不備などが見つかり、09年2月に文書警告したという。
同運輸局福岡運輸支局は18日午後、事故を起こしたバスが所属する同社大川営業所に特別監査に入った。
城北交通の船津則正社長(73)は18日午前、本社で読売新聞の取材に応じ、「大変申し訳なく思っている。二度とこのような事故がないよう一人ひとりが気をつけなければならない」と謝罪した。一方、事故を起こしたバスの点検状況について「まだ詳細を把握していないが、大川の営業所がしっかり、点検や整備をやっていたと思う。運転手の管理も営業所に任せていた」と話した。
大分県九重町でスキーツアー帰りの観光バスがJR久大線の線路へ転落、42人が重軽傷を負った事故で、一夜明けた18日早朝、バスが線路上から撤去され、同県警玖珠署に運ばれた。同署は自動車運転過失傷害容疑で捜査に着手。同日中にバスの実況見分をし、車内の損傷状況などを調べる。
玖珠署ではバスの中に残った荷物を取りに乗客が続々と到着。顔には一様に疲労感が漂っていた。8列目に座っていた男性(24)は「運転手のうめき声が聞こえて運転が荒くなっていった。どんどん加速する感じだった。事故時の衝撃はすごかった」と恐怖をかみしめるように話した。
事故は17日午後5時50分ごろ発生。福岡市の「ジェット旅行」が募集したスキーツアーで、バスは城北交通大川営業所(福岡県大川市)の所有。運転手は「ブレーキが利かなかった」と話しているといい、下り坂の町道で加速して止まれなくなり、丁字交差点のガードレールを突き破って線路へ転落。豊後中村駅をたった列車が近づいていたが、約100メートル手前で停車し、大惨事は免れた。