■皇太子殿下の公務が少なすぎる…と皇室関係者から疑問の声 女性セブン2013年2月14日号
心臓バイパス手術から約1年が経った1月27日、天皇陛下は東京大学医学部付属病院で検査をお受けになった。術後の経過は万全とはいえ、手術前よりも忙しく公務を果たされている陛下に、ご心配も伴う。
宮内庁のHPによると、この1月に陛下が果たされたご公務は(1月24日現在)、新年祝賀の儀、新年一般参賀、歌会始の儀や認証官任命式、ご進講など、なんと47件を数える。
宮内庁関係者
陛下は常に国民に笑顔をお見せになっていますが、実際はオーバーワークの厳しいスケジュールで、お体は悲鳴をあげていらっしゃるはずです。それでも“国民のために”と公務の負担軽減などは望まれず、まさに命を懸けて、その責務を全うなさっています。本当に頭が下がる思いでいっぱいです。
そんななか、気になる出来事があった。それは、1月18日に行われた東宮大夫の定例会見でのことである。
宮内庁関係者
あるベテラン記者が語気を強めて“最近の(皇太子)殿下は、あまりにも公務が少なすぎるのでは?”、さらに“働き盛りの年齢で、どうしてこんなにも公務が少ないのか?”と投げかけたそうです。この指摘に対し、小町恭士東宮大夫は、“殿下は1月23日に行われる学習院女子大学での講義の準備で忙しい”などと必死に弁明していたといいます。
実際、皇太子さまの1月の公務(1月24日現在)は、昭和天皇祭皇霊殿の儀、講書始の儀、歌会始の儀、勤労奉仕団へのご会釈など、わずかに14件で、日数にしても10日だ。陛下と比べると、3分の1にも満たないことになる。
宮内庁関係者
陛下が、ご体調が万全とはいえない状況のなかで、あれだけお務めになっているわけですから、お元気な皇太子さまの公務が少ないことに疑問を感じたり、不満が出るのも当然かもしれません。それに、“将来の天皇”となるお立ち場として、“あまりにも心もとない”という心配の声も上がっているようです。
ちなみに秋篠宮さまは13日間で21件を数え、2月3日からはカンボジアを訪問される予定だ。昨年10月に亡くなったカンボジアの和平に尽力し、国民から “独立の父”と呼ばれたノロドム・シアヌーク前国王の国葬に参列されるためで、2泊3日の強行日程で臨まれる。この秋篠宮さまのご訪問をめぐっても、疑問の声が上がっているという。
皇室関係者
亡くなったのは国王なので、陛下が参列なさってもおかしくないのですが、やはり陛下はご高齢ということもあり、秋篠宮さまが赴かれることになりました。しかし、陛下がご無理とすれば、本来ならば皇太子さまが行かれるべきなのですが…。
しかも、前述した1月23日の学習院女子大学での講義はカンボジアがテーマ(『アンコールワットと日本のつながり』)だったことから、“なおさら皇太子さまが…”という声がトーンを高くしているようだ。
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宮内庁や皇居の清掃員でも、宮内庁や皇室の関係者と呼ぶことができます。
ところで、皇室は法律によって規定されています。それには憲法上の理由があります。 憲法が第二条で「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と定めた以上、皇位継承資格者の範囲を明確にする必要があるからです。
皇室は経済上の特権を得ると同時に、多くの経済上の制約を受けるほか、基本的人権が著しく制限されることからも、やはり一般国民と皇族の違いを明確にする必要があるはずです。
ところが、週刊誌をはじめ、多くの人が誤解しているのが、「皇族は公人なのだから、公務の義務がある」としていることです。皇族は公務員ではありません。また公人でもありません。ですので、法律的な公務も存在しません。 というと、憲法第一条には、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」とあるのだから天皇は公人ではないのか、憲法第七条には「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。」と10項目の国事行為が規定されていますから、天皇には公務が存在するのではないのかと反論したくなるでしょう。
それはそうですが、天皇には公務とされているものには10項目と規定された国事行為以外のものが多く含まれています。そうなった理由は昭和天皇にあります。敗戦によって悲観している国民を励まそうと、昭和天皇は全国行脚を行った。これが一種の慣習法のような形となって、今の今上陛下も受け継がれ、それを公務だと誤解しているだけです。
また皇室については、憲法や法律のどこにも公務に関する規定はありません。
ここ数年、雅子妃殿下の体調不良による療養に関連して、雑誌などで、皇族なのに公務をしないなどという心無い記事が目立ちます。 しかし、そもそも皇族に法的な公務はないのですから、そのような指摘はまったくお門違いなものです。それは浩宮殿下にも言えることです。以前、殿下は公務を減らしたい旨の発言をなさったことがありますが、それも当然で、殿下の真意は、昭和天皇に依って出来上がってしまった慣習法もどきを止め、憲法及び皇室典範を遵守したいということでしょう。殿下は当たり前のことをいったまでです。
皇族に公務というべきものがあるならば、それは「御存在あそばすこと」であるはずです。しかし、皇室を守るという形で「公務をしない皇族論」を展開している方々は、その表向きの親皇室とは裏腹に「御存在あそばすことを否定する」ということに、その本意があるかのように思えるのです。
第1章 天皇
第7条 【天皇の国事行為】
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
1号 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
2号 国会を召集すること。
3号 衆議院を解散すること。
4号 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
5号 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
6号 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
7号 栄典を授与すること。
8号 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
9号 外国の大使及び公使を接受すること。
10号 儀式を行ふこと。
解説
本条には10個の天皇の国事行為が定められています。 各号を簡単に見ていきましょう。
1号の 「 公布 」 とは、広く国民に知らせることをいいます。 公布は、官報をもって行われ、公布によって国法として施行されます。
2号の 「 国会の召集 」 は、一定期間に、議員を集めて国会を開始させる行為です。
3号の 「 解散 」 とは、議員全員に対して、その任期の満了前に、議員資格を失わせる行為です。 衆議院が内閣不信任案を可決し、衆議院が解散する場合などがあります。
4号の 「 総選挙 」 とは、衆議院の任期満了、解散による総選挙と、参議院の3年ごとの半数改選 ( 憲法46条 ) による通常選挙のことをいいます。
5号の 「 任免 」 とは、 「 任命 」 と 「 罷免(*1) 」 のことをいいます。 「 認証 」 とは、一定の行為が権限のある機関によって正当な手続きでなされたことを証明する国家機関の行為をいいます。 ただし、認証自体は効力発生の要件ではなく、認証を欠いたからといって、その行為が当然に無効になるわけではありません。
6号の 「 恩赦 」 とは、訴訟法上の手続きによらずに、刑罰権の全部または一部を消滅させる行為をいい、 「 大赦 」 「 特赦 」 「 減刑 」 「 刑の執行の免除 」 「 復権 」 の5種類が定められています。 「 復権 」 とは、交通違反などで免許を取り消された者など、法律の定めるところにより資格を失ったり、停止されている者に対し、その権利の回復を行うことをいいます。 恩赦には、法の画一的な適用や裁判の後に生じた社会事情の変化による不都合を解消したりする効果があるとされています。
7号の 「 栄典 」 とは、国家等に功労があった者の栄誉を表彰するために、特定人に対して認められる特殊な地位をいいます。文化勲章や紫綬褒章などがその例として挙げられますが、実質的な決定権者は内閣であり、政令によってなされているのが現状です。 なお、 「 栄典 」 をこの国事行為に限定するものではなく、国民栄誉賞や内閣総理大臣賞などはこの規定に違反するものではありません。
8号の 「 批准 」 とは、全権大使などによってすでに調印された条約に対して同意を与え、その効力を確定させる行為をいいます。 実質的には、内閣が審査をして確定させます。 天皇は、この批准書に署名と捺印をして認証をします。 5号と同様、認証自体は効力の発生要件ではありません。
9号の 「 接受 」 とは、外交使節に対して、接受国として反対のない旨の意思表示(アグレマン)を与え、その信任状を受ける行為をいいます。
10号の 「 儀式 」 とは、天皇が主宰して執行する国家的な性格を有する儀式をいいます。 即位の礼や、大喪の礼などの行事が代表的なものとして挙げられるでしょうか。
*1 職を辞めさせること。