沖縄県がプロ野球のキャンプ観光に力を入れる。本島の主要キャンプ地を巡回するシャトルバスの運行や、キャンプ情報のポータルサイト開設でキャンプ地観光を後押しする。
沖縄県と沖縄観光コンベンションビューローは1月29日、東京・品川のホテルで「沖縄観光&MICEコンテンツフェアin東京〜オールおきなわ大博覧会」を開催、併せてプロ野球キャンプ訪問観光促進事業発表会を行った。
プロ野球の春季キャンプは2月1日に一斉にスタートするが、沖縄県では過去最多となるは国内9球団、韓国6球団の15球団がキャンプを行う。地元シンクタンクの調査によると、昨年、沖縄県でのキャンプやオープン戦の観客は過去最高の28万人となり、このうち県外からは4万人以上が来訪。沖縄県への経済波及効果は宿泊や飲食、土産品や関連グッズ販売などの直接効果が45億8千万円、これらに間接的な波及経済効果を加えた78億7千万円と推計されている。
観光が基幹産業の沖縄県では、こうした分野をスポーツツーリズムと位置付け、新しい観光客の創出やリピーター化につなげたい考えだ。
キャンプを目的に訪れる観光の支援策として今年から始めるのが、那覇市や北部の名護市を起点に各球団のキャンプ地を効率よくめぐるシャトルバス「プロ野球キャンプバス」の運行。7路線に33便を運行させる。
料金は1日乗り放題で大人1千円、小人500円。キャンプ地訪問以外の観光にも利用できる。キャンプの情報発信も行う。「プロ野球キャンプ情報ポータルサイト」を開設し、各球団の練習スケジュールやイベントを紹介していく。
また、那覇市の沖縄ポートホテルにベースボールコーナーを開設する。キャンプ情報のほか、2013年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)日本代表「侍ジャパン」の選抜メンバーの写真やユニフォームを提示するコーナーを設け、侍ジャパンへのメッセージを寄せてもらう。
キャンプ観光促進発表会では、元読売ジャイアンツの篠塚和典さんと駒田徳広さんがトークショーを行い、沖縄でのプロ野球キャンプの楽しみ方についてアドバイスした。
篠塚さんは、「球団ごとのキャンプの違いを比較すると面白い。滞在してゆっくり回ってほしい」。駒田さんは、選手との距離の近さを楽しむことを勧めていた。「是非、選手に声をかけ、好きな選手をつくってほしい。キャンプのオフ日にはレストランや居酒屋で選手に会えるかもしれません」。
沖縄県は2月1日、プロ野球の春季キャンプに合わせて「プロ野球キャンプ訪問観光促進事業」をスタートさせる。県文化観光スポーツ部スポーツ振興課が担当する。
キャンプの受け入れ態勢の整備を実施し、併せて各種プロモーションを展開することで観光誘客の拡大を目指す同事業。「スポーツアイランド沖縄」の実現を目的としている。具体的には、新規観光誘客に向けたプロモーションの強化、キャンプ地までの交通利便性の向上、キャンプ情報などのインフラ整備、キャンプ地での観光メニューの充実、キャンプを受け入れる受入市町村協力会や友の会のサポートなどを展開する。
沖縄県にとって、「スポーツ・ツーリズム」は期待される観光スタイル。新規観光客の創出、リピーター化、観光収入の増大、雇用創出などの起爆剤になる可能性が高い。特に、沖縄での「春季プロ野球キャンプ」は1979(昭和54)年に日本ハムファイターズ投手陣が初めて沖縄キャンプを実施して以降、年を追って拡大。2012年に引き続き、今春も15球団(国内9球団、韓国6球団)を迎えるなど、沖縄におけるスポーツ・ツーリズムをけん引している。
同事業事務局の片瀬泰介さん(JTB沖縄)は「春季プロ野球キャンプは、スポーツアイランド沖縄を体感でき、併せて沖縄の魅力に触れことのできるとてもいいチャンス。ぜひお越しいただければ」と話す。
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日本人は、アメリカ人と比べて、ゲームばかりでなくトレーニングも見て楽しむ傾向がある。アメリカではプロ野球のキャンプに人が集まるということはないが、日本ではそれで観光ができるほど人が集まるらしい。人はキャンプを見に来る。彼らは、そこへ行く道がデコボコであっても見に来るだろう。それが舗装されれば、それに越したことはないだろう。沖縄のキャンプ地への道路は大体舗装されているから、それ以上のサービスということになる。キャンプを見に来る人は、それに越したことはないだろう。ただ、そのサービスがあるからキャンプを見に行こうという人は変わり者ぐらいだろう。
日本人もアメリカ人も、沖縄の海なら見に行きたい楽しみたいという思いになるだろう。その海は観光資源といえる。でも、プロ野球のキャンプを見て楽しみたいのは日本人だけである。そのなる理由は何だろう。その理由がわかってこそ、それが観光資源ともなるだろう。その理由は沖縄県にはわからないらしい。人が集まるから商売が成り立つ、というだけのことのようだ。