民放各局が警戒しているNHKのエロ化がストップしそうだ。年始恒例のNHK制作担当の幹部会議で異例の通達が行われ、“NHKらしさ”の徹底や“原点回帰”を求める声も多かったのだ。
というのも、昨年のエロ化路線が視聴率に貢献しなかったためだ。年間視聴率でNHKは4位でゴールデン帯は3位。膣トレを取り上げた「あさイチ」は全日帯、過激なセックス描写で話題だったドラマ「カレ、夫、男友達」はプライム帯でいずれも4位だ。
NHK幹部
唯一、3位に食い込んだゴールデン帯は東日本大震災や原発問題を報じたニュースの影響が大。要はエロ化路線が視聴率に貢献もしていないどころか、ステーションイメージをダウンさせたという批判もあるのです。
大晦日の紅白のショックもある。前半35.2%(昨年35.7%)、後半41.6%(同41.7%)と、ともに前年割れになってしまった。これもNHKのエロ化路線で視聴者が離れたためという分析があるし、KARAや少女時代らのセクシーな衣装に対して視聴者から苦情が寄せられたそうだ。
そして年明けに究極のダメ押し。松山ケンイチ主演の「平清盛」が歴代ワースト3の視聴率17.3%を記録したことだ。
民放編成マン
伊東四朗扮する白河法皇のセクハラ三昧のご乱交や吹石一恵の授乳シーンなどはエロ路線だったわけですが、視聴率が取れなかった。
ちなみに「平清盛」のエロシーンは昨夏以降に撮影されたもの。今回の会議の方針を受けて、今後、脚本が大幅に書き換えられるのは必至。ちょっと残念。
(日刊ゲンダイ2012年1月21日掲載「NHKのエロ路線が打ち止めになる」より)
私が定期的に見ているNHKの番組は「ガッテン!」「美の壺」「ニュース」などだから、“NHKらしさ”の徹底や“原点回帰”はいいことだ。松山ケンイチ主演の「平清盛」が歴代ワースト3の視聴率17.3%を記録したのはエロ路線だったからでもないだろう。まず平清盛は日本人に人気のある歴史上の人物ではない。また学校教育では「武士が力を持ったから武士の時代がはじまった」と教えているが、実際には、公家たちの倫理の乱れが庶民との距離を遠くし、庶民は自ら守るために武士のあり方を求め、武士がそれに応じて行った。それが第一回で、明確にではないものの描こうとしていたようだ。これもまた教育によって判断を規制された視聴者には意味が分かりづらいことだったのではないだろうか。そのシーンはただのエロだろと受け取られたのかも知れない。