大阪府枚方市の国道170号で一昨年、女子高生が車2台に相次ぎひかれた事故で、後続車を運転し、自動車運転過失致死罪に問われた同府寝屋川市、黒川淳被告(30)の判決で、大阪地裁は17日、「注意義務を課すことにはちゅうちょがある」として無罪を言い渡した。
事故後、1度現場を立ち去った道交法違反(ひき逃げ)の罪については「人をひいたかもしれないという判断は可能だった」として懲役1年、執行猶予3年とした。求刑は懲役2年6月。
判決理由で河原俊也裁判長は、付近住民の証言などから「現場で横断が常態化していたとは言えない」と指摘。道路規制や構造からも「運転者に減速運転を求めることは難しく、横断者などがいるかもしれないとの予想はできない状況だった」と判断した。
同被告は、2010年6月、横断歩道がない枚方市の国道交差点で乗用車を運転中、前方の乗用車にひかれ、転倒していた府立高校1年の女子生徒(当時15)をひき死なせたなどとして起訴された。
前方の男性運転手も自動車運転過失致死罪に問われ、すでに大阪地裁で有罪判決を受けている。
河原俊也裁判長が『付近住民の証言などから「現場で横断が常態化していたとは言えない」と指摘。道路規制や構造からも「運転者に減速運転を求めることは難しく、横断者などがいるかもしれないとの予想はできない状況だった」と判断した。』ことはすばらしい。ただ「常態化云々」「予想はできない状況云々」には不満だ。常態化していたとか予想できる状況といったことは、そう判断する基準の設定が難しいのではないだろうか。原則として横断できないし、予想できないとすべきだろう。
ここ数年、交通事故のニュースに接する度、歩道や横断報道を通行中の事故には沈痛な思いになるが、車道や信号無視の横断報道の通行の事故などを痛々しく報道するメディアには笑いがこみあげてくるだけである。