パソコンの遠隔操作事件で5日未明、真犯人とみられる人物から報道機関など二十数カ所に「新春パズル〜延長戦〜」と題する新たなメールが送られた。
捜査関係者などによると、メールにある問題を解くと、江の島(神奈川県)にいる猫の首輪に事件の情報を書き込んだ記録媒体を取り付けたとの内容が示された。警視庁などの合同捜査本部は猫を発見し、首輪にテープで貼られた記録媒体を回収。犯人が付けた可能性があるとみて解析を進めるとともに、周辺の防犯カメラ映像も調べる。
真犯人が送ったとみられるメールは今年に入り2回目。1日未明のメールは関東地方の山の頂上に記録媒体を埋めたとの内容だったが発見されず、5日のメールでは「オオカミ少年みたいに思われているのが不本意」と書かれていた。
パソコン遠隔操作事件の「真犯人」とみられる人物が年明けから再び動きだした。報道機関などに相次いで届いたメール2通はともに、パズルを解けば遠隔操作ウイルスのデータを入れた記憶媒体の所在が分かる形式。4人を誤認逮捕した警察は、挑発するかのような行為を解明し、真犯人にたどり着けるのか。
6日午前、神奈川県・江の島。数匹の猫が気持ちよさそうに日なたぼっこする傍らに、地図を見ながら聞き込みを続ける捜査員の姿があった。
江の島にいる猫の首輪に遠隔操作ウイルスのデータを入れた記憶媒体をつけた―。警視庁など4都府県警の合同捜査本部は5日、計25のアドレスに届いたメールの内容通り、首輪に記憶媒体をつけた猫を発見した。
観光客が多い江の島では、餌に困らないためか捨て猫が多い。住民の男性(77)によると、記憶媒体がつけられた猫も2〜3年前からいる捨て猫で、首輪はついていなかった。「人懐っこいから首輪をつけるのも難しくないのでは」という。
捜査員らは、地元自治会が設置した35カ所の防犯カメラに不審者が写っていないか、画像のチェックも進めている。
メールは元日にも届いた。リンク先のパズルを解くと、東京近郊の雲取山(標高約2千メートル)の山中に記憶媒体を埋めたことを示す画像などが現れた。合同捜査本部は年明け早々、付近を捜したが見つからず、画像は登山愛好家が昨年、インターネットに投稿したものと酷似していたことが分かった。
「ミスしました。捕まるのがいやなので今から首つり自殺します」。昨年11月13日のメールには、新聞の上にケーブルで周りを囲まれた人形の写真を添付。画像の位置情報が横浜市保土ケ谷区の団地を示したため、合同捜査本部は周辺を捜索したが、有力な情報は得られなかった。
真犯人と名乗り出た昨年10月のメールを含め、いずれも送信の際に海外など複数のサーバーを経由させる匿名化ソフトを使ったとみられる。
捜査をもてあそぶかのようなやり方に、捜査幹部は「(身元につながる)ミスがどこかにあるかもしれない」と指摘した。