海外に長期滞在するシニア層が増えている。フィリピンも低料金の日本人向け介護施設が多く人気らしい。海外での老後に危うさはないのか。哲学者・萱野稔人らが追跡していた。
今、海外に長期滞在するシニア層が増えている。フィリピンは温暖で低料金の日本人向け介護施設が多く、人気がある。なぜ海外での老後を選ぶのか。追跡を始めると見えてきたのは、日本の介護施設に入るときの料金の高さ、入居待ちの待機高齢者の多さなど、日本の社会保障の問題だ。一方、海外での老後に危うさはないのか。フィリピンではトラブルも発生しているという。一体、何が起こっているのか。哲学者・萱野稔人らが追跡した結果は、医療費の問題だった。
フィリピンに在住するために日本における住民票などを抹消した場合、日本の健康保険制度が使えなくなり、現地で高額な医療の壁に突き当たるのだという。そうした状況を考えずにフィリピンに移住した人がほとんどらしい。また、慣習や法律の違いから現地で裁判沙汰になったケースもあった。
萱野稔人は追跡の感想として、フィリピンでは老後を過ごすとか、ケアを受けるとかのメリットがある一方で、デメリットとして高額な医療の出費をあげていた。そして、この両者は本来、日本における社会保障の問題として解決しなければならないはずだと総括していた。
哲学者・津田塾大学准教授…萱野稔人(かやのとしひと) 【語り】永作博美
なぜ海外での老後を選んだのか 〜さまよう日本人高齢者たち〜 - NHK 追跡!真相ファイル
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フィリピンにおける老後で、老後を過ごすとケアを受けるではメリット、高額な医療の出費はデメリットとする問題、それに似た現象は、すでに国内にある。老後を沖縄で過ごしたいとする人は多い。特に沖縄島北部や離島などが人気があるようである。ところで、その地域は歩いて行ける距離にスーパーやコンビニ、医療施設などがない。したがって、50・60代で健康であり、車が運転できる方にとっては「老後を過ごす」と「ケアを受ける」が強調される地域である。しかし、70代以降の年齢で、健康に自信がなく、また、歩いて行ける距離にスーパーやコンビニ、医療施設などがないので「生活できる場所ではない」となってしまう。それでも生活を可能とするなら多額な補助金や援助金が必要だろう。70代以降の方が生活する場所としては、東京など都会の、歩いて行ける距離にスーパーやコンビニ、医療施設などがあった方がいい。
これからも多額な補助金や援助金で、地方の老後を維持するのか、老後を都会で過ごして貰い、それに支払っていた補助金や援助金をそっくり社会保障費にまわすかは選択の問題だろう。
フィリピンにおける医療費の問題は、そこに住む人々が、健康保険制度への支払いを済ませてあるのなら、外国に住んでいても適用は可能だと思うのだが・・・。