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ヴァギナ・デンタタ‐歯の生えた膣 沖縄の鬼餅の由来

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 ヴァギナ・デンタタ(ヴァギナ・デンタータ、ラテン語: Vagina dentata)は、ラテン語で「歯の生えた膣」、「歯のある膣」を指す言葉です。膣に歯や牙が生えていたり、膣の中に武器があったりする女が、誘惑した男を殺したり男根を食いちぎって去勢したりする民話は世界各地の文化にみられ、見知らぬ女性とのセックスの危険性を訴えたり、強姦をすることを戒めたりといった内容の教訓話として語られることもあります。

ヴァギナ・デンタタより。


 歯の生えた膣という概念は精神分析学でも重要な意味を持っています。ジークムント・フロイトはヴァギナ・デンタタについて、男性の持つ「去勢不安」(castration anxiety、性交の最中に女性に飲み込まれたり、挿入したペニスを去勢されてしまうかも知れないという無意識的な恐怖)に関係していると述べています。また、この恐怖のもとを、膣への入り口である女性器の形やあり様が口のようだと連想されることにあるとする見方もあります。

 ヴァギナ・デンタタは様々な文化における神話にも登場します。心理学者エーリッヒ・ノイマンはこのような神話の一つについて次のように内容を伝えています。「『恐ろしい母親』(Terrible Mother)の膣の中に魚が住んでいた。英雄である男は『恐ろしい母親』と戦って勝ち、その膣の中の魚の歯を折って、彼女をただの女にした。」

 マオリ族やハワイ人などの間に伝えられたポリネシア神話には、マウイという文化英雄が登場します。彼は太平洋の島々や人々を創造した人物でしたが、最後に永遠の命を得るため、夜と死の女神ヒネ・ヌイ・テ・ポの中に入って彼女を殺そうとしました。しかしオウギビタキたちが笑い出したためヒネ・ヌイ・テ・ポは目を覚まし、体内から出ようとしたマウイは膣の中で砕かれてしまいました。こうしてマウイは最初に死んだ人物となり、人間は永遠の命を得ることはできなくなりました。他の神話の中には、英雄が歯を一本だけ残すという内容もあります。

 スティーブン・J・デュカット(Stephen J. Ducat)は著書『The Wimp Factor』の中で、これらの神話は性交が男性に対して与える脅威、すなわち男性器は意気揚々と中へ入ってゆくが、出る時は縮こまって出てゆくことを表しているとしています。

 玄奘(三蔵法師)の著作『大唐西域記』に羅刹国という羅刹女の国が登場します。日本では東女国(とうじょこく)とも書かれ、後には女護ヶ島伝説とも結びついて、女人島(にょにんじま)・女護国(にょごこく)などとも呼称されました。

 南方熊楠によれば、アイヌの伝承に、「昔、最上徳内が探検し発見した、メノココタンという島の住民は、全員女性で、春から秋にかけて陰部に歯が生え、冬には落ちる。最上が「下の口」を検めたところ、刀の鞘に歯形がつく程度の咬力があった」というものがあるといます。

 沖縄では「鬼餅由来」に『兄が人を食う鬼となり、妹がそれを退治するために、石を入れた餅とふつうの餅を作って持って行く。石を入れた餅を食べた鬼は、こんな堅いものでも妹は食うのかと驚く。また、妹が足を開いて座っていると、鬼は「その下の口は何か」と尋ねる。妹が「上の口は餅を食う口、下の口は鬼を食う口」と答えたので、鬼は恐れて逃げ、崖から落ちて死ぬ。』とあります。
























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