俳優・渡辺謙(52)が、今月下旬にスイスで開かれる世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議」に招待されたことが15日、発表された。過去にアイルランドの人気ロックグループ「U2」のボノ、米女優シャロン・ストーンも参加した世界的な会議で、日本の芸能人として初めてスピーチを担当、日本や東日本大震災の被災地の現況を伝える。渡辺は14、15日と東北5都市で主演映画「はやぶさ 遥かなる帰還」(2月11日公開、瀧本智行監督)の特別試写会を開催。約1287キロを移動し、被災地の人々と交流した。
世界の「Ken Watanabe」が大役を任された。1月25〜29日にスイスのダボスで開催される「世界経済フォーラム」の年次総会「ダボス会議」に出席することが決まった。
世界各国の首脳、世界的に活躍する政治、経済、文化など各界のリーダーたちが一堂に会する会議で、過去には「U2」のボノ、シャロン・ストーンが参加。渡辺は「幅広い文化活動に加え、(被災地支援のためのメッセージサイト)『kizuna311』等を通した国際的社会貢献活動を行っている」として招待された。
25日に日本の芸能人として初めてスピーチを行う。26日には主演映画「はやぶさ 遥かなる帰還」のダイジェスト版、世界に向けて日本の復興を発信するために制作中のドキュメンタリー番組の一部を上映する。
渡辺謙
東北や日本全体の現況をリポートし、日本の技術力の素晴らしさも伝えてきたい。
そして、「はやぶさ」を被災地に届けた。14日に岩手・宮古市と大船渡市で、関係者以外では初となる試写会を開催。15日は宮城・気仙沼市、石巻市、名取市と移動した。東京との往復を含めて移動距離は約1287キロに及んだ。
過去に4度、支援のために被災地を訪れている渡辺は「お久しぶりです」とあいさつ。すべての会場で温かい拍手に迎えられた。「自分は俳優だから『作品を届けるのが一番のプレゼントなんだ』と思い、『真っ先に持ってくるからね』と約束しました。その約束を果たすことができました」と、各地で感無量の様子であいさつした。
宿泊した気仙沼では町を歩き、改めて地震、大津波の爪痕を目の当たりにした。「町の音や人の息吹が感じられた。『少しずつは前進しているな』と思った。その反面、がれきは撤去されているが、その先が見えてこない。その現実を伝えていきたい」。仮の鳥居を立てた一景嶋神社では、無病息災を祈る「どんと焼き」の最中に「あの炎が神様につながっていればいいな」と願った。
映画には日本人の創造性や困難を乗り越える力、絆といったメッセージが込められている。「少しでも明日を生きる、そして前に進む力になれば」。被災地に、そして世界に、この思いは届くはずだ。
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◆ダボス会議 スイスのジュネーブに本部を置くシンクタンク「世界経済フォーラム(WEF)」が毎年1月、スイスのリゾート地・ダボスで開催する年次総会のこと。世界的に活躍する政治、経済、文化など各界のリーダーたちが一堂に会して、地球規模の様々な問題について話し合う。2008年には女優・藤原紀香(40)が、次世代のリーダーたる「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出されている。
◆「はやぶさ 遥かなる帰還」 小惑星探査機「はやぶさ」の帰還のため奮闘するプロジェクトチームの人間ドラマ。渡辺ふんするプロジェクトマネジャー・山口教授は幾多のトラブルにもめげず、はやぶさの生還を試みる。江口洋介、夏川結衣らが共演。
(2012/1/16 スポーツ報知「渡辺謙、被災地の現状を世界にスピーチ…「ダボス会議」招待」より)