アメリカで減税の終了と歳出削減が重なって景気が悪化しかねない、いわゆる「財政の崖」の回避に向けた交渉で、政府側が富裕層に対する増税の対象を絞って、野党・共和党に配慮する妥協案を示す一方、共和党幹部はさらなる歩み寄りを求め、大詰めの調整が続いる。
「財政の崖」を巡っては、政府と野党・共和党が年内に今後の財政運営について何らかの妥協を図らなければ、中間所得層を含め一斉に減税が打ち切られ、消費が落ち込んでアメリカの景気が急速に悪化すると懸念されている。
協議の中で、政府側は、年収25万ドル以上の富裕層に増税するというこれまでの案から対象を年収40万ドル以上の富裕層に絞るという共和党に配慮する妥協案を示し、歩み寄りの動きをみせた。ただ野党・共和党で交渉を主導するベイナー下院議長は18日、「財政の崖を回避するため合意を望んでいるが、大統領の提案はまだバランスが取れていない」と述べた。そのうえで共和党としては、増税の対象を政府の提案よりもさらに絞り、年収100万ドル以上の富裕層にとどめる法案を今週後半に提出する意向を示し、政府側にさらなる妥協を求めた。
双方の主張にまだ隔たりはありますが、ここに来て、妥協にむけた動きは加速しており、ホワイトハウスのカーニー報道官は、「歩み寄りまであと少しのところに来ている」と述べ、合意を目指し調整は大詰めを迎えているという認識を示した。
寄り付きの東京株式市場で日経平均は3日続伸。4月4日以来約8カ月半ぶりに1万円を回復している。米「財政の崖」問題回避への合意期待の高まりから18日の米国株が続伸したほか、円相場も軟化傾向にあり、買いが先行。銀行、証券などの金融株やハイテク、自動車など主力輸出株のほか、鉄鋼、機械、建設などが高い。
一方、きょうから20日まで開催される日銀金融政策決定会合を見極めたいといい、朝方の買い一巡後は様子見が広がりやすいと指摘されている。
19日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は続伸した。前日終値より100円ほど高い1万円台前半で寄り付き、その後上げ幅を130円程度まで広げている。前日の米株価が2カ月ぶりの高値水準に上昇したほか、外国為替市場で円相場が対ドル、対ユーロともに円安方向にあるなど外部環境が改善。リスク選好度を強めた投資家が主力株など幅広い銘柄に買いを入れている。
前日の米市場で、大型減税の失効と歳出の強制削減が重なる米国の「財政の崖」の回避に向けて民主党と共和党が実質所得増税の対象となる富裕層の世帯年収について歩み寄り、両党の合意が近いとの期待が強まった。ダウ工業株30種平均は2営業日連続で100ドル超上昇し、2カ月ぶりの高値水準を回復した。国内では自民党と公明党が連立協議を本格化し政策進展期待が強いことに加え、追加の金融緩和観測も根強い。自動車や機械などの景気敏感株、証券株や銀行株といった金融株などを中心に幅広く買いが入った。
寄り付き前に発表された11月の貿易赤字額は9534億円と過去3番目の大きさだったが、市場予想の範囲内で材料視する動きは限定的。
東証株価指数(TOPIX)も大幅に続伸。
トヨタが3800円台を回復し連日で年初来高値を更新。三菱UFJ、野村、キヤノン、ソフトバンク、ファナック、三井物が上昇。シャープが大幅高。半面、京セラ、大東建、アステラス、東エレクは下落。スタートトゥ、フジミインコが安い。