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安倍政権で政策はこう変わる 社会保障は自助・自立 経済は借金の増大を懸念

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 自民党が大勝し、東日本大震災後の日本の政策が大きく変わる可能性が出てきた。安倍晋三総裁のもとで「原発ゼロ」は後退し、社会保障は政府に頼らずに「自助・自立」を求める傾向が強まる。外交・安全保障では中国に対する強硬姿勢が目立っている。

 福島県いわき市の仮設住宅周辺は16日夜、冷え込んでいた。「元に戻るのかなあ」。東京電力福島第一原発がある大熊町から避難している女性(59)はテレビの開票速報を見ながら、こうつぶやいた。

 最大の争点だった原発政策は、野田政権が示した「2030年代の原発ゼロ」が転換される可能性が高い。自民党の安倍晋三総裁はこれを「無責任」と批判してきたからだ。

 衆院選では多くの党が「原発ゼロ」を掲げたが、民主のほか、「10年で卒原発」と主張した日本未来の党など脱原発勢力は多くの議席を失った。一方、自民や、脱原発に否定的な石原慎太郎氏が代表の日本維新の会は議席数を伸ばした。

 自民は公約では「原発に依存しなくてもよい社会構造の確立を目指す」とうたった。ただ、原発ゼロを目指す各党とは考えが違う。

 原発の再稼働は「3年以内に判断する」として、事実上、原子力規制委員会が安全と認めた原発を順々に動かしていくとみられる。そのうえで「遅くとも10年以内に持続可能な電源構成のベストミックスを確立する」と主張し、原発維持の可能性も示唆している。

 新政権の原発政策はどこへ向かうのか。試金石は、中長期的なエネルギー政策を定める「エネルギー基本計画」の内容だ。野田政権は「30年代の原発ゼロ」を盛り込んだ計画を年末につくろうとしていたが、見直される可能性が高い。

 自然エネルギーなどを増やし、電力会社の地域独占を緩めるための電力システム改革の行方もわからなくなった。野田政権は、電力会社の発電と送電部門を分離する「発送電分離」や「電力販売の自由化」を進めるため、年末に改革案をまとめるつもりだった。

 しかし、自民はこれまで、改革を嫌う電力業界の支援を受け、改革には慎重な姿勢を示している。経済産業省幹部は「自民党政権になれば、方針変更は避けられない」とみる。

 電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は「自民党の方が我々の考え方に近い」と強調してきた。電力業界は原発ゼロが撤回され、再稼働が進むことを心待ちにする。

 野田政権は新たに建設が計画されている原発12基のうち、中国電力上関原発(山口県上関町)など未着工の9基の建設を認めない方針だった。だが、上関町の原発推進派は「安倍首相になれば流れが変わる」と期待する。


■自民大勝、安倍政権へ―地に足のついた政治をー朝日新聞社説

 またしても、小選挙区制のすさまじいまでの破壊力である。総選挙は、自民、公明両党が参院で否決された法案を再可決できる320議席を確保する大勝となった。自民党の安倍総裁を首相に、3年ぶりに政権に返り咲く。かたや民主党は衝撃的な大敗を喫した。退陣する野田首相は党代表の辞任も表明した。勝者と敗者の議席差はあまりに大きい。だが、過去2回の総選挙のような熱気はない。最大の理由は、3年前、政権交代を後押しした民意が民主党を拒み、行き場を失ったことだろう。「第三極」も幅広い民意の受け皿たりえなかった。その結果、地域に基盤をもつ自民党が、小選挙区制の特性もあって相対的に押し上げられた。それが実態ではないか。投票率は大きく下がった。世論調査での自民党の支持率も2割ほど。安倍氏は昨夜「自民党に100%信頼が戻ってきたわけではない」と語った。安倍氏はそのことを忘れず、大勝におごらぬ謙虚な姿勢で政権運営にあたってほしい。

 いま、何よりも求められるのは政治の安定である。不毛な政争を繰り返した結果、わずか6年で6人の首相が辞める。まさに異常事態だ。その間、経済も外交も有効な手を打てず、内外で「日本の衰退」が言われる。第1院、第1党の党首が腰を据えて国政のかじを取る。そんな当たり前の政治を、今度こそ実現しなければならない。安倍氏の責任は重大だ。前回、体調を崩したせいとはいえ、結果として1年ごとの首相交代の幕をひらいた。同じ轍をふんではならない。大事なのは、現実的で柔軟な政策の選択である。内政にせよ、外交にせよ、問題を一気に解決してくれる「特効薬」などあるはずがない。自民党は公約の柱に経済再生を掲げた。国民もデフレ不況からの脱出を願っている。日本銀行にお金をどんどん刷らせ、政府は公共事業を膨らませる。自民党はそう主張するが、懸念がある。行き過ぎたインフレや財政悪化を招く「副作用」はないのか。尖閣諸島をめぐって、中国の理不尽な挑発行為が続く。北朝鮮による事実上のミサイル発射も、日本のナショナリズムを刺激した。日本の安全をどう守るのか、国民が関心をもつのは当然のことだ。

 自民党の公約には強腰の項目が並ぶ。憲法を改正し自衛隊を国防軍に。集団的自衛権の行使を可能に。尖閣諸島に公務員を常駐させる。政府主催の「竹島の日」の式典を催す。だが、それが本当に日本の安全につながるのか。戦前の反省をふまえた、戦後日本の歩みを転換する。そうした見方が近隣国に広がれば、国益は損なわれよう。米国からも日本の「右傾化」への懸念が出ている折でもある。課題は山積している。社会保障と税の一体改革を前に進め、財政を再建する。震災復興や自然エネルギーの開発・普及を急ぎ、経済成長の道筋を描く。日米関係や、こじれた近隣外交を立て直す。利害が錯綜する複雑な問題を調整し、ひとつひとつ答えを出す。いまの世代のみならず、将来世代にも責任をもつ。安倍氏に期待するのは、地に足のついた実行力にほかならない。前回の安倍政権では靖国神社参拝を控え、村山談話や河野談話を踏襲して、日中関係を立て直した。そうした現実的な知恵と判断こそが重要である。民主党をはじめ野党との信頼関係をどう築くかも、新政権の安定には欠かせない。現状では、少なくとも来夏の参院選までは衆参の「ねじれ」が続く。安倍氏は自公連立を軸に、政策ごとに連携相手を探る構えだが、とりわけ参院で第1党の民主党の存在は重い。

 まず民自公で合意した一体改革、さらに衆院の選挙制度改革をしっかり実行することだ。民自公3党の間では、赤字国債発行法案を政争の具にしない合意もできた。この流れを逆もどりさせず、政党の枠を超え、協力すべきは協力する。そんな政治文化をつくりたい。原発政策もしかり。総選挙では多くの政党が「脱原発」を主張した。自民党の公約は原発の将来像の判断を先送りしているが、安倍氏は「できるだけ原発に依存しない社会をつくる」と語る。少なくともその方向では、すべての政党が協力できるはずではないか。もちろん、新政権が行き過ぎたりしないよう、野党がブレーキをかけるのは当然のことだ。与野党の不毛な対立を防ぐためにも、連立を組む公明党には政権の歯止め役を期待する。民主党にも言っておきたい。惨敗したとはいえ、これで政権交代が可能な政治をつくることの意義が損なわれたわけではない。自民党に失政があれば、いつでも交代できる「政権準備党」として、みずからを鍛え直す機会としてほしい。


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 量は質を変える・・・衆院では選挙制度改革が待っている。今回の選挙も野田首相が安部総裁に「議員数の大削減」を約束させて実現したものである。しかし、選挙後、選挙制度改革を話題にする当選者やマスコミはない。議員は公共の代理人である。日本では議員が多すぎるという。量は質を変えるのだから、代理人の質にどのような変化が生じているのだろうか。ある人は議員の数が多いことで、代理人の質が低くなってしまうという。では少なくすれば質は上がるのだろうか。

 教師の質を上げるのは教師を競争させればいい。同じように議員の質をあげるには議員を競争させればいい。競争させるために必要なことは削減である。公共の代理人になる競争を厳しくすればいいのである。ところで自民党には削減を口にできる議員はいるのだろうか。安部総裁などは野田首相との約束など無かったことにしたいはずである。彼が自ら選挙制度改革を口にすることはないだろう。多数の議員を抱える既存政党が大胆に身を切ることができるわけがないではないか。

 仮に、選挙の争点は世論調査で議員削減となったとしよう。するとその公約を掲げた政党が大勝するだろう。しかし勝ったと同時に、その政党が自民党と同じ理由で議員削減を凍結させるはずなのである。つまり議員という名の代理人には議員削減、選挙制度改革は難しいのではないだろうか。

 だとすれば方法はひとつ。議員削減、選挙制度改革は議員という名の公共の代理人に任せるのではなく、法的権限を有した第三者機関を設けて、その機関に議員削減、選挙制度を委任することである。 

























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